同時に思ったのは、ふだん文字で書いてきたことも伝わっていないものだなあ、ということ。スイム動作については東京近辺の方には有料講習会で説明してきたので、その範囲内では誤解を解消できているつもりだけど、ラン・バイクについて時間をとって説明する場はこれまでなかったなあ。今後もやってみたい。(これ系のは Facebook で告知しています)
スポーツ動作の説明は難しい。厳密にいえば不可能だ。そうわかっていても僕は説明するのが大好き。
よく起こる誤解は、たとえば「ABC」と3つの話をしたときに、
正解=A and B and Cと「全要素のand条件」で「正解を求める」方向で受け取られがちなこと。
この方法では、「一見キレイなフォームだけど速くない」、という状況に陥りやすい気がする。
絶対的な正解が存在するのは高校生まで、センター試験で終了してるはずの世界。18歳から先は思考法をアップデートすべきであって、スポーツもその1つだ。
正しくは、
ヒント=A or B or Cという「or条件」だし、そもそもが1つの「ヒント」に過ぎない。どれか1つがアタりなら十分だ。そして並列された3要素とは、Cが当たった時にABとも整合性を取れていればいい、というCheck項目の関係にある。
「程度の問題」である
その上で、耐久競技では「程度の問題」が加わる。たとえば、
「上方での強い腕振り」という技術の活用度を、1km走なら90%、10kmなら75%、42kmなら前半40%後半55%ラスト7kmで80%と、レース距離(=正確には持続時間)に応じて、動作技術のボリュームを調整してゆく。
のだけれども、その前に、
「そんな動作では42kmも持ちませんよね?」という疑問で、思考がストップしてしまったりする。
僕の考えでは、「長距離専門の動作、という正解」を求めてしまった時点で、すでに成長機会を逃している。
「実験で検証すべき」である
そこでオススメの方法は、最小単位で実験してみること。たとえば
毎朝10km走るかわりに、1km×5に分割するという場合、走行距離は50%ダウン、実験回数は500%アップだ。
こんな実験の中から、自分にとっての「妥当解」を見出してゆく。
そして、その妥当な「度合い」を高めてゆく。
「質の高い練習」とは、そういうものだと僕は思う。
誤解
なぜ誤解なのかというと、(昔から何度も繰り返して言っている話だけど一応繰り返すと)、こういった身体負荷の高さに頼った練習は、伸びしろが限られるから。動作技術の改善なら、それこそ大迫傑レベルでも伸びしろあるのは 最近Twitterで書いた 通りだ。
でも、最近ではトレーニング内容の数値化が進んでいて、一見、とてもわかりやすいので、意識がそこに向かいがちな風潮があるように思う。
すると例えば、「上下動の数値をより少なく走ろう」という意識も持ってしまいがちだ。でも多くの場合それは間違った努力。そうなってしまうのは、ランニング動作の仕組みへの理解がないまま、コンピュータを盲信する姿勢があるからではないだろうか。
ここは超大事なことなので繰り返しておこう。
「質の高い練習」とは、まずは「質の高い動作を導く練習」である。身体負荷の高い練習、を必ずしも意味するものではない。もちろんそれはそれで必要な練習ではあるけれど、「身体を超疲れさせたから質が高い!速くなるぞ!」というのは、必ずしも報われるものではない。
今回の開催目的は、400年以上前に判明したニュートン力学の基本に立ち返って、ランニングの仕組みから理解すること。
ランニング指導書は多いけど、このレベルで説明しているものはあんまり見ない。去年でた翻訳書 『ランニング・サイエンス』 などには幾らか書いてあったかな。たぶんランナー出身者が多いコーチ達には優先度の低い話なんだろうけど、僕がふだんいろいろ考え書いて、またトライアスロンするうえで、ニュートン力学は超使える実用的知識の宝庫だ。これを応用するだけで、かなりの疑問に対して「妥当解」を思いつくことができる。
こんな核になる考え方があれば、いろいろ玉石混交な情報に惑わされず、使いこなすことができる。それに、同じ走るなら、仕組みから理解できていたほうが楽しいとも思うし。
今後の同種の会に関心ある方、告知は当面、
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