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2020/02/13

「甘いもの」が競技パフォーマンスを落とす理由3つ

こんなツイートが大量いいね集めてるのを見た:
❝ 長距離選手がお菓子やジュースなどから糖分を取り過ぎていると、筋肉が硬くなり100%のパフォーマンスが出せなくなります。
練習を積んでいるとどうしても糖分が欲しくなると思いますが、糖分の多いものはできるだけ我慢するようにしましょう。❞
ツイッターではちょっと変わった話がウケるものだけど、「筋肉が硬くなる」という根拠のない情報に疑問を持たない人ちょっと多いかな? このブログでは、もう少し正確な説明をしておきます。



1.健康の基本

はじめに大前提の確認から。「糖分」といえばまず「質」を見るのが令和の常識。超ざっくり2分すると、
  • 未精製穀類・芋・果物などなどの自然食品
  • そこから加工された砂糖的なの
に分かれる。

同じ林檎🍎🍎🍎であっても、そのまま食べればほぼ身体に良く、糖尿リスクも低い。100%ジュースと称して繊維分を除外して売ってるのは糖尿リスク上がる。以下、テーマを後者の人工的糖質に絞って書く。

砂糖的なやつの(スポーツ以前に)健康全体についての問題は、
  • 急激な血糖値変動 → 糖尿病
  • AGE(終末糖化産物)増加 → 老化
などある。
「AGE」とは年齢のAgeとかけたダジャレ込みな略語、最近いわれるようになった。皮膚のしみ・しわ・たるみ、血管の動脈硬化、骨の骨粗しょう症、目の白内障などのリスクを高める。不妊・認知症・がんとの関係も報告されている。(西日本新聞2019/9/4 "老化の原因「糖化」とは?専門家に聞く仕組みと対策" より)

2.スポーツへの悪影響3つ

競技パフォーマンスに問題を絞ると
  1. 砂糖系は「Empty Calory」=他の栄養素が乏しいため、全体に、栄養欠乏に陥りやすい
  2. 血糖値急上昇でインスリンが分泌されると、運動時のエネルギー源が糖質に偏り、脂肪活用度が下がる
  3. 就寝時に高血糖になると、成長ホルモン分泌が阻害される
ではないだろうか。

1は、栄養豊富な食べ物のシェアが下がるだけでなく、筋肉を動かすために必要なミネラルを(マグネシウム・カリウム・カルシウムなど)余計に消費してしまう。("1分子の糖の代謝に28分子以上のマグネシウムが必要" との情報あり)

2もたまに書いてきた話で、特に糖質だけでは不足する90分以上の運動では重要。
運動開始前に食べるならギリギリ15分以内、できれば開始30分後以降、あたりが目安かな。いわゆる「スポーツドリンク」は60分以内の運動なら必要度0%。

3.の成長ホルモンは、疲労回復や脂肪燃焼に効果があり(だからNIKEのサラザールは長距離ランナーに試そうとした)、しかも加齢で減少する。30後半くらいから放っておくとパフォーマンス低下することの大きな原因となる。

その対策として、「低血糖のストレスを利用する」という方法が、最近注目されている。

2−2. 成長ホルモン増加のために

簡単な方法は、病院に行って、注射してもらう。※ドーピング違反が関係ない場合

オーガニックな方法としては、睡眠時の分泌のために、
  • 夕食を早めに
  • 遅くなるなら、糖質控えめに
  • 高血糖が続いてたら、夕食後に運動
などが有効だ。

ストレスやドーパミンも促進要因なので、トレーニングで気分上げて(ドーパミン)、負荷(ストレス)をかけるのはプラス側。
夕食のデザートで砂糖系のものを食べるのはマイナス側。食べるなと言ってるのではなく、後に運動すればOK!

1月に書いたブログ ↓
トレーニング直後には 補 給 し な い 〜 世界最新、長距離競技の栄養のヒント6つ
もその手法に沿っていて、トレーニング直後にすぐに補給すること(=昔の常識)をせずに、低血糖状態を維持することで、成長ホルモン分泌を促す。

3.糖化とスポーツの関係

先に書いたAGE(終末糖化産物)の増加は、動脈硬化の一因。筋肉・腱・筋膜などを劣化させることも考えられる。
ただ、AGEがこのレベルまで悪さをする状況とは、体全体がかなり不健康な状況であることが容易に想像されるのではないかな?
スポーツして、シェイプできる限りは、この心配はいらないのではないかと思う。(情報あるかた教えてください)


ついでに「ネット・リテラシー」について

まあ、結論として「甘いものを控えよう!」と行動を変えられるのなら、その理由付けがどうであれ、価値のある情報発信ととらえることもできるかもだ。なので僕にとって、へーこういうのウケるんだー、という学びにこそなれ、そのTwitterアカウントさんを批判する気はありません。

ただ、それでいいの? と思うだけ。このツイート主さんは、陸上の記録を書いているけど、本当に出してるのか素性が一切わからない。仮に出していただとして、発信が信頼に値するかは別の話だ。「もっともらしいナリをした人の言うことをそんな素直に聞いてていんですか?」という気持ちになる。

ではなぜ、「一見科学ぽくて、実はそうではないツイート」がウケるのか?と考えると、
  • 「あたりまえな話」がベースなので共感しやすい
  • 「小さなサプライズある情報」をトッピングして刺激もある(ピザにかけたタバスコ的なやつ)
  • 5000m14分台出してますとだけ自己紹介していて(※素性一切不明だし本当に出しているのかは全くわからない)、なんとなく信頼したくなる
  • 単純なフレーズを繰り返して、わかりやすい(セクシーな人気政治家さん的な)
といった理由だろうか。

リテラシー=文章読解力の問題。

情報過多な時代には、対応はざっくり2つあり、
  1. シンプルにわかりやすい結論だけ言い切ってくれる情報だけみているか
  2. 自分の頭で考えて、見分けるか
僕はタイプ2に向けて書いているつもりだけど、タイプ1のほうが楽に生きれるってこともあるかもしれないね。ご判断はお任せします。万人にとっての絶対解はないから。




2020/01/11

トレーニング直後には 補 給 し な い 〜 世界最新、長距離競技の栄養のヒント6つ


トレーニングは、負荷→栄養→休養、の3種目を完走してはじめてゴール。真ん中の栄養は原材料であり燃料。その長距離アスリートに向けた最新見解をデイブ・スコットが2020/01/01あけおめYoutubeで説明している。


全体にプチ断食と(良質な)脂質重視という最近の流行りに沿っている中、新情報は、「トレーニング直後には補給するな」という点だ。成長ホルモン分泌を目的とする手法で、過去常識である「30分以内はゴールデンタイム」論の逆転になる。



数分間の動画で、"日常生活で差をつける栄養とトレーニングのヒント"がタイトル、「新年だし試してみれば?」程度のヒント集。結論と短い説明だけで。真の根拠はDave Scottの名前です!といったところだけど、実際それだけでもかなり強い。
要点:
  1. 甘い飲物NG
  2. 精製油(サラダ油とか?)を、アボカドやココナッツなどの良質な(高価な!)油に
  3. 朝食を遅く=12−15時間のプチ断食へ
  4. 間食しない、食事後3−4時間は空ける、どうしても空腹ならナッツなどを少しだけ
  5. トレーニングは全身連動する運動で終えて、終了後すぐには補給するな
  6. 1杯の辛口ワインやダークチョコレートを楽しむ
このうち、1,2,6は長距離トレーニングに限らず、美容系も含めた流行の食事メソッド、説明不要だろう。6.は抗酸化も兼ねた楽しみ、ということだろうけど、ワイン、1杯だけとはむしろ高難度な…😅

プチ断食

3,4は、間欠的ファスティング、プチ断食などのメソッドと共通する。

3.朝食時間は、12時間の断食の場合、夜8時に夕食を終えて朝食は早めに出社してからオフィスで8時開始でOK。田舎とかではわりと普通な生活かと思い、僕も実家は夜7時/朝7時な感じ。
あるいは、夜9時食べ終わり/昼12時=朝食抜き。育ち盛りの子供だとダメなやつで(そもそも高校生の競技は長くてもラン10km、糖質だけで済む)、Daveは大人向けのアドバイスなので。長距離慣れして脂質代謝力が上がっていればけっこういけると思う。僕もエネルギー過剰気味な場合にそうすることが多い。

※動画では触れてないけど、朝食前やや軽めトレーニングも、その効果があるはず。

間食禁止とプロテイン補給法

4.間食禁止は、満腹ホルモン「レプチン」と空腹ホルモン「グレリン」の最適化により、成長ホルモン系を最大利用することが目的。

この対象者は、プロテインをこまめに摂っている人。考え直していいかもしれない。
似たことを言っていたのが、去年秋に来日した自転車選手アダム・ハンセン。プロテイン摂取について
「プロテインは、トレーニング直後に集中配分して摂れ、小分けし過ぎるな」
と言っていた。これは僕も直感的にそんな気がする(僕の場合はプロテインではなく自然食品だけど)。ボディ・ビルダーとかならこまめに摂ることで吸収量の上限を攻める必要もあるのだろうけど、長距離は別の競技。
 

トレーニング直後には補給しないほうがいい

注目は5.つめだ。よくジムとかにプロテイン入りボトルなど持ち込み、終了直後に飲んでいる人がいる。そうするな、という常識逆転になる。

目的は、ヒト成長ホルモン、テストステロン、などの超回復ホルモンを分泌させること。

まずトレーニングでは、全身の筋肉を連動させる動作で締める。たとえば正しいスクワットがそうらしい。スイムだと壁をけらない25mダッシュとかどうだろう?

その上で、
「すぐには栄養補給しない」
すぐって何分だ?て思ってしまうアナタは、もしかしたら、平成までの旧常識に毒されているかもしれない。笑
去年書いたブログ ↓
"タンパク補給の新常識を知っているか? -『科学的に正しい筋トレ 最強の教科書』 (庵野拓将, 2019)書評" 
を今一度お読みを
  • 昔: トレーニング後30分以内の「ゴールデンタイム」にタンパク質を摂れ
  • 最新: トレーニング後1〜3時間ほどが筋タンパク質の合成速度が最も高く、少なくとも24時間は有効 
この考えからは、そもそも時計を見て判断する必要がない、となる。

トレーニング直後の出し尽くした感覚の中で、
「ホルモン出てるぞ! これがホルモンだ!」
と、しばし味わえばいい。

この手法の背景には、近年、ホルモンについての科学的知見がいろいろ明らかになっていることがあるだろう。その中でも、空腹というトリガーが体内で重要な働きをしているのだろう。「腹八分目に医者いらず」の理論的証明というか、後付けな。

スポーツ科学とは、このようにひっくり返ることが結構ある。その程度のものだから教科書どおり忠実に実行する意味はあまりなくて、参考程度にすればいい。それが昔からの僕の考え方です。わかっていることは活用する、自分の感覚を磨くために。

平成までの旧常識をアップデートしよう。

  

プロテイン使用の必要性を感じない僕としては、ナッツ小袋わけ+豆乳ミニパック、の組み合わせが、外出先で便利だと思っている。

2019/04/18

“糖質制限 × 長距離スポーツ” 国内事例が出はじめた

2019年4月 宮古島トライアスロン の蒸し暑さ、優勝戸原プロ、7位竹谷コーチ、そしてM45-49カテゴリ1位の青木医師、と競技力が高く、熱中症リスクも熟知される方々が続々と熱中症にハマりかけていた模様。ハマりきらずに好成績で終えるのは皆さんさすがだ。レース前半の雨で警戒心がなくなったのも効いていそうだ。
暑さ慣れしていないこの時期、ちょっとした気温湿度の上昇で、リスクが急上昇するのは、5月のショート横浜なども同じ。まったくトライアスロンとはややこしい。

宮古島ジャンプアップの成功要因4つ

そんなタフな宮古で、前年から40分以上の短縮、総合14位、最も元気なM30-34カテゴリ1位(総合Top10繰り上げ対象は戸原&栗原の両プロなので一般人1位)、と素晴らしい成果を上げた菊池朋明さんが、ブログでその成功要因を4つ挙げておられる。


長距離レースでのジャンプを目指す方なら、読んでみるといい。
まず、
  • Training Peaksを活用した量の管理
  • バイクは99%Zwift
この2つの採用者は今すごく多い。違うのは、徹底度の差ってことだろう。

では、
  • 糖質制限生活を半年間
  • 痛みをマネージメントする
この2つは、どうだろう?
❝ 考え方が合わない人は読み飛ばしてください ❞
という話であることを前提に、少し説明しよう。

“糖質制限 × 長距離スポーツ” 

このKikuchiさん、鎖骨骨折で練習できない間に体重を増やさない、という目的で禁酒と食事管理を始めたのが、そもそものきっかけ。そして、
❝ エンデュアランス系のトップアスリートが脂質代謝を上げるために糖質制限を実施していることを知りました。糖質制限は一般的にダイエット目的の人が多いので、アスリート向けにはノウハウがあまり出回っていませんでした。しかし、こちらのセミナーは超絶アスリート向けで勉強になりました! ❞
と書かれている、まさにそのセミナーの講義録が、こちら。
 “糖質制限 × 長距離スポーツ”の教科書 by 小谷修平   (2019.01, MAKESウェルビーイング・ラボ)
半年間の継続とは、小谷修平さん が勧めている期間とちょうど一致する。
連載第4回のこちら:
 4. 適応へのプロセス 
から引用すると、適応には、一般論として半年あれば十分で
  • 直後: お腹がすいてイライラ
  • 3週間後:「食習慣」として慣れてくる
  • 2ヶ月後: 運動がそれなりにできる
  • 3ヶ月後: スピード練習など、強くなるための良い練習ができる
  • 4〜4.5ヶ月: 良質な練習の効果により、元のレベルに戻る
  • 半年後: メインレースに挑める
とおおざっぱな目安が示される。小谷さん自身は、3ヶ月で既に❝ 過去最高の自分になっているのでは?という感覚 ❞が得られている。

その結果、Kikuchiさんも
❝ 今回の宮古島も内臓は快適そのもの。去年の補給の半分で走りきれました。ランではいつもジェルも受け付けなくなるのですが、今回は空腹感を感じる余裕がありました。補給を入れられるとはっきり言って楽です。戦うべき対象が減ります。 ❞
という成果を手にしている。そして栄光の宮古島トップ10まであと4人!

宮古島2015(本年落選)
なお、「痛みをマネージメントする」という点は、
 痛みのマネジメント論 by 河合隆志  (2019.03, MAKESウェルビーイング・ラボ)
ご参照を。これも故障を防ぎながらパフォーマンスを上げるための大事な考え方だと思う。

「日本語の壁」を越えて 

糖質制限でのスポーツ活用は、他にも取り組み事例を聞くようになっていて、どれもこの小谷セミナー特集記事を教科書にしてもらっている。

別の例を挙げると、たとえば「女性の筋トレ」という流行は、日本は欧米から10年遅れて、最近ようやく普及しつつある状況かなと思う。「日本語の壁」により、英語情報圏との時間差が発生しているのだろう。今やアジアでも都市域の中上位階層は英語圏ともいえ、ここからも日本人の多数派は遅れを取るようになっていくかもしれない。

そんなテーマの1つが、女性の出産とスポーツの関係、その意識差については「妊娠中&出産直後のトライアスロンby 西村知乃」などどうぞ。


こうした先進情報、これからも追いかけていくのでよろしくどうぞ。

※なお私、復帰レースは51.5kmで9月なので、糖質制限トライアスロンする予定ないのであしからず〜糖質の質を上げるマネジメント度は上げていて悪くない感じですけども

2019/03/23

"長距離スポーツの糖質制限" と "強度" との関係

"糖質制限×スポーツ" という世界的トレンド

昨冬のセミナーを記事化した→ 「“糖質制限 × 長距離スポーツ”の教科書 by 小谷修平」 ←は、僕が参加してるウェルビーイング・ラボ by MAKES の記事で最も読まれていて、閲覧数トータルで万に行ってるそう(表示される閲覧数は一定期間)。 GARMIN4個あたるキャンペーン でもコメントが多い。

小谷さんは、24時間で東海道新幹線ほぼ東京ー浜松間(257.1km)を走るために、このレベルの方法論を必要としていたわけで、そのストイックさにみなさん驚かれるわけだけど、"糖質制限による脂肪活用" という手法は世界のスポーツ界での一つのトレンドでもある。テレビCMのコミットしてるアレだけではないのだ。

そこで自ら試みる市民アスリートさんも周りに目立つのだけど、よくある落とし穴は「トレーニング強度」を許容限度を越えて落としがちな点かなと思う。この文章ではこの件について僕の考える現状認識と対応を書く。

世界のトレンドの一端が、トライアスロン界の生ける伝説、デイブ・スコット(Dave Scott)65歳。その脂肪食理論について、4,000字の記事「世界の長距離スポーツ理論 by デイブ・スコット」2019.03.19で書いた。みなさん関心高いようで今時点のFacebookシェア17 ↓ ↓ ↓


事例

この記事↑ ↑ ↑でも少し紹介したのが、2018年アイアンマン世界選手権エイジ8時間24分のコース記録だしたダニエル・プルーズ(Daniel Plews)教授だ。低糖質高脂肪食(LCHF)によって脂肪活用力を高めて、毎分1.2 g/kgの脂肪酸化力を獲得、これ運動不足な一般人(毎分0.28g)の約4倍、通常の市民トライアスリート(0.53g)の約2倍だ。

なお練習量が豊富なら、脂質活用能力は、何食べてようが(ある程度は】上がる、という面はある。彼の量の積み方は ブログ にも(英語で)書かれていて、日本語ではパパサラリーマンさんブログ 「IRONMAN 一般人の世界新記録で優勝した王者の練習!質も量もハンパじゃない…」 で説明されている。

ただ、これだけできる人もそうはいないし(Plewsさんもそれ続ける気はないらしいし)、彼が指導する市民トライアスリートもそこまでできないだろう。想像だけど、彼には自分の考えを圧倒的結果による証明したい、という動機があり、仮にこれだけの量は不要だとしても、万全を期して徹底的に準備をしたかったのでは?て気もする。

失敗してませんか?

自ら試して人で、それで長く続けられていて、成果も出てるのなら何も言うことはない(おめでとうございます)。ただ、うまく適応できてない人は結構多いはず。

それ、もしかして「手法に縛られている」かもしれない。
そうではなく「目的から考えよう」という話をしてみたい。

(2019幸福学学会発表の帰り道、レインボーブリッジより)

小谷さんの場合、徹底した低糖質食へと適応するまで、1度の失敗を含めてガマンの期間がある。そして良質なトレーニングができるようになるまでに3ヶ月の時間をかけている。
ただそれは、それだけのメリットが小谷さんには存在するからだ。 エネルギー産出工場を作り変えることができれば、劇的な効果が見込まれる競技だから。

でも、あなたが今ここで考えるべきは、「程度の問題」ではないだろうか。

基準を明確に

ロングのトライアスロン、あるいは100キロマラソンぐらいなら、そこまで徹底的に身体改造するメリットは、そこまではないことが多いはず。(本当に何も食べれない!とかの方は例外ね、当然)

つまり、優先順位を間違えてはいけない。目標達成のためにまずスピードが重要な状況にあるのなら、 「練習の強度を維持する」ということをまず優先するべきではないか? そこをクリアできる範囲内で、摂取糖質を下げ気味にしてゆく、というアプローチだ。

優先順位について考える場合にもう1つ重要なのは、時間軸。
あなたが今、優先すべきものは何か?ということ。勝負レースまでどれだけの時間があり、どれだけ冒険(or 遊び)を混ぜられるか?ということ。

優先順位は?

僕の印象を書いておくと、多くの市民アスリートは、単純にスピード不足ではないかな?という気はしている。スピード=パワー×技術。
たとえば…「ハーフマラソンまでは得意だけど(or 合計25kmのスプリント・トライアスロンなら強いけど)、持久力がないし、レース中に補給不足になるんです」
といったケースでなら、エネルギー問題を優先的に解決することが合理的なのだが。

で、あなたは「ハーフマラソンなら速い人」ですか?

これら理解した上で、
❝ そのほうが結果的には楽じゃないか?と直感的に思うんです。一気に減らしたほうが、早く適応できるからです。人は緩やかな成長より、変化が急激な方がおもしろいのではないでしょうか。❞

といった考えに心理的・精神的に共鳴するのなら、それは合理的な判断。
ただ、そういった状況認識や戦略なくして漫然とマネをするのならば、結果も出ないし、何よりやっててHappyでもないことだろう。

実体験

これは僕自身の僕自身が経験した話でもある。
トライアスロン開始3年、始めてハーフ113km, フルアイアンマン226kmへとチャレンジした2013年シーズンでは、
  • 「目標の練習スピード」をほぼ唯一の基準に
  • その範囲内で、「ちょっと少なめのエネルギー量で練習に臨む」
という方針でロング対応をした。ここで「少なめのエネルギー量」とはトレーニング中に限った話で、終了後はしっかりと食べてたので注意ね。当時は糖質も脂肪もともに制限せず、ただ「大量の脂肪と大量の糖質を同時に摂ること」は控えていたはず。

そして、僕なりに満足できる結果 (2013Kona 個人記録) を残すことができた。といって 表彰台は33分先、王者は55分先 にいたわけで、あくまでも個人的満足に留まるものではある。

でも運動苦手な僕が、始めて3年での初チャレンジで、最も参加人数の多い激戦カテゴリで世界選手権の上位13%に入れて、という過程を含めて、自分自身に満足できているというのもHappyなことだ。僕は「結果を他人に褒められるため」にKONAを走ったわけじゃないしね。

2015宮古島に向けて、脂肪活用を本格的に試してみようと思ったのだけど、「低糖質状態でトレーニングするということ」を優先目標にしてしまい、十分な練習強度を出せていなかった。ただこれは、作戦選択の失敗ではなくて、すでに気持ち的に完了していた、という面が強いのだが。そんな実験でもしてみないことには参加動機がなくなってた的な。

結論

"長距離スポーツへの低糖質食" を試してみるなら、まず "強度" との優先順位を明確にすると良いと思う。

それが「手段に縛られない、目的から考える」ということ。

目的から考えるとは、自分の目標レースをどこまで解像度高くイメージできるか? に行き着くだろう。

2019/03/03

「有酸素運動で脂肪燃焼」なんて古文書に替えて、「体重設定値」という最新減量法を。

僕は体重が増えやすいのだけど、減量もわりと簡単にできる。+-8%くらいの範囲内ではあるけど。
増量できる理由は簡単、胃腸が丈夫だからです、はい。
ではなぜ減量できるのか、最近の理論的発見をこの文章ではまとめてみたい。

<減量の教科書>
最新理論の理解には、2019/1刊の『トロント最高の医師が教える 世界最新の太らないカラダ』by ジェイソン・ファン 一冊で良いかも。
一行でまとめれば、「体重の設定値」は肥満ホルモン=インスリンでだいたい決められているから、インスリンをコントロールすれば痩せられますよ、という話だ。
 逆にいえば、運動やカロリー制限は主たるターゲットではない。
Amazonレビューが(サクラでなく)割れる本は面白いこと多く、低評価派のいう通り、細かすぎる話も多いのだけれど、おかげで、どれくらい信用できるのかなんとなく伝わる。そもそも体重変化の仕組みは今の医学で完全にわかるものではなく、ましてシンプルに伝えるのは不可能。「まあようするにこんな感じ?」くらい思えたなら十分。

<「体重の設定値」という発想>
次に「体重の設定値」は、どうすれば低く抑えられるか?と考える。
僕の経験も交え整理すれば3要素あり:
  1. 睡眠
  2. 運動
  3. 食事
十分な睡眠は基本、かつ変なストレスがないことは(=変なストレスの最たるものは睡眠不足)、大前提になる。しっかり寝れてさえいる限り、あとは食欲にほどよく従って食べていれば、おかしなことにはならない。理想は7時間。

運動も、体重設定値をただしく保つ手段になる。運動によるカロリー消費量よりも、身体センサーを正しく機能させるためのメンテナンスとしての意味が強いのかもしれない。

食事については、「インスリン分泌のコントロール手段」と置き換える(or 精緻化する)ことが、この本の大きな特徴だ。

<太らない食事>
では、そんなインスリン適正化のための食事とは、
  • 減: まず精製された糖、次に加工度の高い穀物の摂取を減らす
  • 抑: タンパク質は総カロリーの2-3割に抑え
  • 増: 良質な脂肪、食物繊維をもっと食べる

これは『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』by 津川友介 2018/04
 など信頼できる類書とも共通する話だ。

「糖質」と言っても、穀物の加工度という視点からは、精製小麦粉+砂糖の白いパンより、精米しただけの白米の方が良質と言える。『太らないカラダ』では白米なら太る原因とはいえない、との立場で、一般的な糖質制限派とも違う。
砂糖のようなものを頻繁に食べていれば、インスリンは明らかに乱れるので、お菓子の増量効果はカロリー数値以上に高いということだ。

<ファスティングの本質>
これら基本を踏まえた上で、インスリンをコントロールする有効な手段として、この本では、
  • 間欠的ファスティング=時間限定のプチ断食
を勧めている。

ただし、あくまでもインスリンのコントロールの一手段としての推薦なので、同等以上の効果があるなら別のものでいいわけで。だいだい僕は断食なんて嫌だし。

そもそも『太らないカラダ』を書いたジェイソン・ファン医師は、腎臓病・糖尿病など内臓疾患を治療する専門医であり、「運動」は幾つかある選択肢の一つに過ぎないし、運動がマトモにできなくなっている患者さんも多いことだろう。

しかし、今この文章をお読みの皆さんは、多くが運動を前提に体重コントロールをお考えであるだろう。この立場の違いは、意識して読んだ方が良い。

そんな運動派のみなさん(たぶん)に僕が提示したいアイデアがひとつ。
「強度の高いトレーニング」は、ファスティングに相当、もしくはそれ以上なのではないだろうか?

<有酸素運動の本質 〜なんてものはない!>
こう考えると、「有酸素運動で脂肪燃焼」という20世紀にばらまかれた古文書の限界を考えずにはいられない。

これ先日ツイートしたら表示3万超と割と読まれた。拡がる余地があったということで、もっと知られるべき話ってことだろう。

「有酸素運動」とは往々にして単なる「ユルいダラダラ運動」でしかない。にもかかわらず、「有酸素運動で脂肪燃焼」という昔の呪文を唱えることで、あたかも脂肪を減らすことができるかのような誤解がひろまっているのではないだろうか?

しかし、それでは現代文明で鈍った身体に対して、ユルくて閾値を下回る程度の刺激しか与えることができないのではないかな? おもいっきり運動できる健康な僕らは、しっかりと高い負荷を正しい方法でかけることで、「体重の設定値」を適正にセットすることができるのではないだろうか?
2月、粉雪の舞う都内で自転車を走らせ2015宮古以来ほぼ4年ぶり再開したムロヤさんには「いつでもレース復帰できそうな身体やね!」と社交辞令いただいたのだが太っていないこととレースできることは同じではなく、笑
・・・

スポーツにおける脂肪活用力を高めたいのなら、私が企画&執筆した連載
❝ 「糖質制限 × 長距離スポーツ」という手法の教科書 ❞
シリーズもお読み下さいな。



この手の話題もさらに深めていく予定なので、もっと知りたい方、SNSフォローください。

2019/02/11

【牛乳ほぼ最強説】プロテイン製品の過剰評価、ホエイ/ガゼインの誤解について

ナリキン弁護士のトレーニング

成金ならぬ「成筋」、小林航太弁護士インタビューが東大新聞オンライン(2019年2月7日)に掲載されている

僕のベスト体重が165cm62kg、モモはかなり太かった(過去形)ので、2%高い身長を加味しても上半身だけで10kg近く多い筋肉をお持ちである。鶏肉の内臓抜き丸ごとで一匹2kgちょいだったりするので、鶏4-5匹を仕込んだ上半身。←手品か

そんな小林弁護士の養鶏、ではなくてトレーニング内容は、
❝週5〜6回、体の部位を胸、背中、肩、足、腕の五つに分け「今日は腕の日」などと決め、1時間半から2時間かけてジムで徹底的に追い込みます。❞
と、上半身が8割を占める。腕だけで1時間半から2時間を追い込む、とはすごい。これくらいやらないと、これだけの筋肉は製造されないものだ。


ナリキン弁護士のタンパク補給

成筋弁護士せんせい、食事について語るに、
❝1日に150〜180グラムのタンパク質を摂取するようにしています。体重1㌔当たり2〜2・5グラム摂取すると筋肉の成長にいいので。基本的に食事で摂取できる量なので、粉末のプロテインの摂取はそこまで意識していません。❞
ジムで筋トレした直後には何らかのタンパク質を摂ってるはずで、そんな場面では粉末プロテインが便利。「そこまで意識していません」とは、こういうタイミング中心に、補完手段=文字通りのSupplement として利用しているということだろう。

逆に言えば、それ以上の意味はない。

かわりに500mlの牛乳なら、17gのタンパク質を24gの糖質と共に摂取できる。さらに数十g以上の糖質と一緒に食べれば、なんなら白砂糖をどばーっとぶっこむだけでも笑、立派なリカバリードリンクができる。乳糖ダメとか乳タンパクアレルギーだとか、500mlの量の牛乳は飲めないとかの障害がない限り。(牛乳500のめないなら17g相当のプロテイン粉末飲むのも難しい気もするけど?)

「美味しくて飲みやすいプロテイン」てキャッチコピーよくあるけど、僕の舌的には、牛乳に砂糖なりハチミツなりバナナなりを溶かしたほうが、よっぽど美味しいし。


リカバリードリンクとしての牛乳

牛乳は機能的にも極めて優秀。

東京大学 大学院総合文化研究科生命環境科学系 寺田研究室のFacebook投稿 によれば、
  • 運動終了後に糖質と牛乳を摂ると、グリコーゲン回復が高められ
  • その過程では、牛乳中の乳脂肪分が重要な役割を果たしている
ここから、以下の仮説:
  • トレーニング後に乳脂肪豊富なアイスクリームを食べるとグリコーゲンが速やかに回復され、次回トレーニングの質が上がる。
が導かれるのであり、事実これは「信州の速すぎるおっさんランナー」牛山純一さん提唱のアイシング理論
→ https://ameblo.jp/ushiyamaj/entry-12357909820.html 
とも一致するのである。彼の好む乳脂肪の良質なハーゲンダッツは、良質なリカバリー用サプリでもあったのだ。

ちなみにFacebookにこの話を書いたら、牛山さん御本人からコメントいただき、トレーニング後のタンパク質補給については
❝レースの後にアイス食べるくらいですね。ほとんど気にしてないです。❞
とのことである。彼は若くて筋肉量の減少という心配も不要なのもあるかな? まそれであの結果を出してるわけだ。

より詳しい英語論文が、"European Journal of Sport Science" 掲載
→ "Cow's milk as a post-exercise recovery drink: implications for performance and health" (Lewis J. James, Oct 2018)
  • 運動後に牛乳を飲むと、筋肉タンパク質合成、水分補給、グリコーゲン再合成に寄与し、運動後の筋肉痛/機能喪失を軽減
  • これらの点で、牛乳は市販されているほとんどのリカバリー用ドリンクに少なくとも匹敵し、しばしば凌駕する
  • 牛乳中のタンパク質はカゼイン最大80%+ホエー最大20%、この組み合わせは、運動後の筋肉タンパク質合成(MPS)を最大化するのに十分である可能性がある
  • 牛乳の筋肉タンパク質合成力は豆乳を上回る
など牛乳の優秀さが書かれている。

そもそも牛乳とは、哺乳類を育てるために最適進化した結果物であるわけで、豆乳より優秀なのは、そりゃそうだろうと。そして乳由来のプロテイン製品とは、ここから他の栄養素を捨て去った加工品ともいえる。


ホエイ/カゼイン、筋肉の付き方は同じ!

この寺田研究室は、プロテインの種類ごとの違いについての研究成果も紹介している。

プロテインの種類の違いで「ホエイは消化吸収が速く、カゼインは緩やか」と言われる。そこで「トレーニング直後はホエイ、寝る前にガゼイン」など言われることがある。
でも現実の効果を科学的に調査すると、
  • たんぱく質の合成速度は、両者とも同じ
  • 効果が明白なのは、「運動後に糖質と一緒に何らかのタンパク質を摂ること」
まあ人間なんらかのストーリーを信じていたいもので、トレーニング直後なら速いほうがいい、とかくらいは信じてみるのも悪くない。ただ、それがこうじて、
❝ホエイプロテインはムキムキになりたい男性用、ソイプロテインはしなやかな女性的な身体向け❞ (森拓郎さんがTwitter @moritaku6 で紹介する展示会でのエピソード)
なんていう嘘情報が平気で流れていたりする。
真実は、
❝日本人に多い乳糖不耐症で乳製品由来のホエイプロテインが苦手という人は大豆由来のソイプロテインに切り替えるという、選択肢の問題だけ❞ (LEE "中野ジェームズ修一さんに聞く!医師の「運動しなさい」に、大人の女が最初にすべきこと【河崎環・ママの詫び状 第11回】"2019/02/07)
力のあるライターさんによる記事で、ここ確認しないといけないくらい、このテキトーな情報は蔓延している実態がある。
(なお乳糖とかの問題あるから、牛乳を誰にでも勧めるものではないのは当然ね)

正しい情報をー

ついでに、「EMSで電気ピリピリ通して筋肉育成」、なんてのについては
❞運動を避けて筋肉量を上げることはできません。筋肉を作るのは筋トレだけ、EMSの電気刺激だけでは筋肉はできません❞ (同)
ですので。そらそーでしょ!笑
 
細かすぎる=実質の効果のない情報に振り回される方が多い気する。

大豆と牛乳の違いにしても、完全ベジタリアンでも筋肉ムキムキな方もいるし(スコット・ジュレクもそれ系かな)、そうたいした差ではないはずだ。

必要なのは、
  1. 的確な情報源をもとに
  2. 自分の頭で論理的に考えて
  3. 「おカネで買える飛び道具」に頼らない!
ことだよねー。
 
ちなみに、Amazonのプロテイン製品のリンクを貼るとアフィリエイト率8%=5000円なら400円バック、1800円の本だと3%=54円で、こうした補給食系はブロガー的には美味しい笑。
なのでリンクは貼っとこ笑  まあ実際、ジムのトレーニング直後とか、バイクでロングライドしてから長い休憩とか、あると良いタイミングはあるから。

まずは正確な知識ですよ。『使える筋肉・使えない筋肉 アスリートのための筋力トレーニングバイブル 』ぱらぱら読んでみたけど、たしかに良書です。

なにも買わん!という方も、私担当してる→ https://www.facebook.com/wellbeing.labo/ ←フォローくださいな。人生アクティブ100年時代をテーマにいろいろ書いたり集めたりしております。

2018/09/16

耐久アスリートの「糖質×脂質」食

先の「大坂なおみのダイエット」の真実 で、ベースとなる事実は断片的なもの。なにしろ10代の女の子向けのファッション媒体teen-VOGUEのインタビューだからね。でも、トライアスロンを中心とした耐久スポーツの栄養理論を踏まえて考えれば、きわめて合理的なストーリーとして理解できる。そんな仮説を書いた。

今回は、その理論的骨組み、耐久スポーツの栄養理論について僕の最新の考えを書こう。

<長距離アスリートの食事法>

その耐久スポーツの方法論:
  1. 日常食: 糖質を抑え脂質は十分に
  2. トレーニング: 前後で糖質を十分にとる
目的:
  1. 日常生活全体を脂質代謝トレーニング化する
  2. 練習の質を上げ、回復も早める
その理由:
  • 長時間練習をしなくとも、長距離レース向けの重要能力を高めることができ(時間制約の大きな市民アスリートには特に重要)
  • その場合に重要度が上がる「短時間高強度トレーニング」では、一定の糖質が必要
  • トレーニング後のリカバリーのために、糖質でインスリンを分泌し、各種栄養素を同化させる
というのが僕の理解です。

この考え方は、6月に来日したデイブ・スコットも説明していた。詳しくはココログで書いたのをご参照→ " 短時間高負荷 × 低糖質 "によるアイアンマン226km攻略法 by Dave Scott」 



<単純な低糖質食のリスク>


注意したいのは、これは単なる低糖質食ではない、ということ。
低糖質食療法の指導、その限界について詳しい鈴木功医師は、低糖質食を長距離スポーツで実行した場合について
  • ある程度は適応するが
  • 出力低下、回復の遅れ、といったデメリットが出てきて
  • 最終的に、成績低下&故障リスク増加するケースが多い
という見解を9/6のFacebook投稿 で示されている。

これらデメリットとは、私思うに、
  1. 糖質の強力パワー使えないから出力低下
  2. インシュリン不足によるり超回復しない
  3. 1+2のW作用により筋力が下がる
  4. 2+3のW作用により故障する
といった流れかなと思う。
前半に書いた方法なら、この問題を回避することができるだろう。

<目的と手法>

大事なことは、自分なりの目的に即して方法論を使い分けること。
いいかえれば、ある特定の手法に依存してはいけない。

手法とは、個々の目的のために、必要に応じて使い分けられるべきものだ。

僕自身はレース中の糖質吸収能力が高いようで、レース中でもトレーニング中でも胃腸トラブルは一度も起きたことがない。たとえば「高負荷練習で吐きそうになった」とかの状態を想像することができない。また目標レースも2時間で終わる51.5kmトライアスロンが多く、脂質代謝がそれほど重要なわけでもなかった。

なので、米とかはトータルでは割と食べていたし。実際、日常のすべてを変えなくとも、部分的に採用するだけでも効果は得られるとも思っている。そもそも僕の競技成績には、プロテニスのような何十億円ものおカネがかかっていないし。

大坂選手の場合、何時間も続く試合中の糖質消費をセーブしたい、試合中の補給による血糖値変動を抑えたい、といった事情もある気がする。これはメンタル的な集中にも影響するだろうし。
確実に言えるのは、体質的に合っていることをトレーニングで確かめているはずだということ。だから、僕の挙げた仮説すべてがあってなくとも、どれかハマるものがあったんだろう。

結論; 糖×脂質の最適配分を探ろう。


2018/09/15

「大坂なおみのダイエット」と糖質制限の真実

もしくは、世界最先端の食事マネジメント術について説明しよう。

大坂なおみ選手、テニス全米オープン2018優勝記念の来日記者会見が、この木曜朝にあった。僕はちょうどアポの時間調整で日本橋あたりのDocomoショップ店内のWifiを使っていて、ちょうど生中継を店内のテレビで見ることができた。

会見中、「ダイエット」という言葉がギャルの減量みたいに受け取られ、笑いが起きていた。しかしDiet=食事、アスリートが使う時は「目的を持った食事のマネジメント」を意味する。日本の大衆文化とグローバルな最先端スポーツとの温度差が、ナオミ選手の微妙な表情から伝わってくるかのようでもあるけど気のせいかも。

その食事の詳細が、"teenVOGUE" ウェブサイト9/11に掲載されている。
Naomi Osaka on Mental Health and Training to Face Her Idol at the U.S. Open
食事面のポイントを抜くと:
  1. オフシーズン: 茹でた鶏肉・野菜中心、糖質は単独では摂らない
  2. 大会前: 炭水化物を摂らない
  3. 大会2週間: 朝食は同じサーモンベーグル
  4. 試合中: 必要量の糖質を補給、バナナも食べる
八田の推測を交えて解説すると:
  1. オフシーズン=減量期: パフォーマンス不要の時期に余分な脂肪をカットしておく。筋トレも積んでゆくと思う。食事内容は、高タンパク×低糖質×低脂質。なおブロッコリーにもそれなりに糖質が含まれていて、完全カットしてるわけでもない
  2. トーナメント前=耐久性能向上期: 体脂肪活用能力を高めるための低糖質食であり、減量目的ではないはず。おそらく高脂肪食。筋トレはせいぜい維持程度かな。
  3. 食事での糖質を(ほどほどに)解禁し、即戦力エネルギーであるグリコーゲンを充填する。ただし20世紀型の「カーボローディング」はしない。また同じ朝食にするのは「ルーティン化」し集中する目的であるのは、食事以外も同様
  4. おそらく試合に限らず、多くのフェーズで、練習中も必要な糖質を控えめに補給しているとも思う(半分に薄めたポカリスエット的なのとか)
このメソッドは、世界の長距離スポーツ界で行われるものと共通するのは、僕がふだんFacebookとブログ(旧ココログ)で言ってきた通りだ。

いわばナオミオオサカはトライアスリートのようにフィジカルを作り上げてきたわけだ。一方でセリーナは筋肉量は十分だが脂肪も載ったシーズン前キャンプ入りした野球選手のような状態であったよう見える。試合開始時点でセリーナとのフィジカル面、すくなくとも耐久性能での勝負はついていた。
「セリーナ、おまえはすでに負けている」
この余裕がメンタル差をうんだ、ともとれるかな。

動画はこちら:

なおこの記事を最初に知った日本のネットメディアでは、新女王の食生活は「炭水化物はとらない」なんて書かれている。そんなわけはない笑

すべては目的をもった脂質と糖質のマネジメント。ギャルじゃないんで笑