2019/04/27

ネット発信論3. ブレーキ要素を「認知的不協和」理論で解剖する

ネット発信をためらう人たちへ

ネット眺めてて、
「なんで、当事者でもない人が、こんなに批判してるの? たいして大事な話でもないのに?
と引いてしまうケース、たまに見るよねー。

こちらはTwitterで医療方面から流れてきたジョークに乗ってみた:

元ツイートもギャグなんだけど、プロ医療者さんが「抗生剤」「輸液」「栄養」などの基本技法にこだわりを持つのは自然ではある。ギャグになるレベルの「物凄いこだわり」にまで行っちゃうこともあるんだろう。

スポーツとかの場合は、そもそもが趣味の話なんだけど(プロスポーツも "究極の趣味" として存在しているわけで)、にもかかわらず、一方的に非難してくるようなネガティブ反応を、わりと見る気がする。

僕はそんな状況を楽しませてもらっているのだけど、世の中的にはダメージ受けてる方も見かける。さらに大きな影響は、横で黙って見ている人たちにとって、発信への抑止要因にもなっているであろうこと。

本来、世に広めるべきものを持っている人が、その恐れから行動できないのなら、実にもったいないことだ。(起きてもいないことを恐れて何もしないことが、合理的な行動だとも思えないけれども)

今から書くのはそんな状況についての考察であり、
  • テーマの重要度(の低さ)に対して、過剰に強い反応をしてしまうネット上の人たちの心理とはなにか?
  • それを受けた時、発信者は、どのようにディフェンスすればいいのか?
についてだ。

目的の1つは、情報発信に興味ある人たちに届いて、行動の力になること。


アイデンティティ論

なぜこうなるのか?

まず考えられるのは、それがアイデンティティの一部を構成しているからだろう。アイデンティティとは、自分が何者であるか、という自意識の集合体。
「練習量を積み上げることで、速くなるだろう」
なら、単なる身体機能 or 合理性レベルの話だ。でも、
「練習量を積み上げることで、"理想の自分"に近づけるはずだ」
なら、合理を超えたアイデンティティの話になる。

そんな中で、
「練習量を積み上げても、速くなるとは限らないよ」
という合理性レベルでの意見を目にして、
「"練習量を積み上げることによって理想の自分に近づいていたはずの自分自身"への攻撃」
と受け取ってしまう。

つまり、「アイデンティティとは相容れない事態」が現れたとき、「自分自身が攻撃された」かのように受け取ってしまう。それが自分にとっては本来どうでもいい事であったとしても。



「認知的不協和」理論

これは、自分自身のアイデンティティを防衛しようとする心理のしわざ。
この仕組みは、「認知的不協和」として理解できる。

たとえば、悪い人に騙された被害者が「いや、あの人は本当は悪い人じゃない・・・」とか悪い人の味方をし始めたりする。(高確率で新たな悪い人が現れ、「可哀想に、ワタシが取り戻してあげよう」的に騙しにきて、さらに信じてしまう。。)
この心理状態とは、「騙された愚かな自分」という状態を受け入れられず、現実を見るレンズの方を曇らせることで、自分の世界を整合的なものに保っている。

と書くとおかしな話なんだけど、人間心理には、常に「自分は正しいはず」という圧力がかかっているものだ。

状況を整理しよう。
  • 客観: 目の前で、現に存在するもの
  • 主観: 目に映る、自分が認識した世界
両者にズレがあることに気づいた状態が、「認知的不協和」。
そして、人間心理は、この状態に耐えられない。

その解消のための対応は、二択なら、どちらか:
  • 客観を正とする=自分の認識を改める
  • 主観を正とする=相手がおかしいと思う
後者のケースでは、自分(=情報の読み手)が正しいと思うことで、自分自身を守ろうとしている。
すると玉突き的に、相手(=情報の発信者)を否定せざるをえない。

ケーススタディ

たとえば、
A.「糖質制限×スポーツ」というテーマは、
B.「白米/ラーメン食べる」という食文化とは、
整合性がないよね。

糖質制限派のAさんは、自分自身の課題(脂質代謝とか胃腸トラブルとか)を解決したいだけ。

一方で、白米食文化のBさんにとって、白米は自分自身が育ってきた個人史の一部であり、家庭で受けてきた愛情の一部であったりする。そのアイデンティティの一部と整合性のない事実を、そのまま受け止めるのは、自分自身を否定されたかのな感情が起こる。それに対する防御反応として、「あんなのおかしい」など否定的な言葉を発してみたりする。

すると、それを目にした糖質制限派Aさんは、Aさん自身が攻撃されたかのように受け取ってしまう。

実際には、Bさんが批判の言葉を吐いたのは、Bさん自身のアイデンティティを防御したいだけ。Aさんを攻撃するのは(仮にそういう言葉を取っていたとしても)Bさんの本心ではない。

こうして、なんてことのない情報発信が、荒れがちになる。

(・・・いや、あまりリアリティない例でした、、失笑。A-Bもっといい例で入れ替えてお読みください)

どうすればいいか?

基本スタンスは、
「自分は正しくも間違ってもいない」
というニュートラルなポジションにいること。
つまり、思考や判断を、自分自身から切り離すこと、だと思う。

考えとは、常に「仮説」にすぎない。
「まずは、こっちが正しい」として行動してみる。
やってみて違うなと思ったら、仮説を修正して再行動する。
その繰り返しだ。
それは行動であって、自分自身=アイデンティティとは独立したものだから。

攻撃は弱点をあかす

1つ追記すると、上記ケースで、BさんはAさんを攻撃しているかのようでいて、実際には、Bさん自身が守りたいもの=もっといえば、弱点を、露呈している、ともいえる。

なにか不当な攻撃を受けてるな、という場合に、
「この人は "こういう攻撃をすることによって守りたい弱点" があるってことだ、それは何だろう?」
と分析してみるのは、人間観察の良いトレーニングになるかもしれない。

逆にいえば、不用意な攻撃をすると、しなくてもいい自己開示をしてしまう。僕も注意するとしよう。

結論

結局、ネット上では、プラス要素だけを拾い、そして提供していけばいい。

この文章が、「これから何かを発信していこうかな、でも、、、」という方に届いて、そのうち誰か一人でも行動を起こしてくれるのなら、僕は嬉しい。

<関連記事>
ネット発信論1. アスリートの情報発信を後押しする「人間関係」について 2019/04/14
ネット発信論2. SNS発信は "一方通行" でいい 2019/04/21

2019/04/21

ネット発信論2. SNS発信は "一方通行" でいい

SNS発信の誤解
SNSは、単に友達どうしで使うのなら、カギでもかけて自由に使えばいい。
なんだけど、なにかの目的のために発信していく戦略的に使い方もできる。ここから書くのはこの戦略系発信のための、基本的な心構え、そして防御技術についてだ。

戦略的発信について、世間でよくあるイメージでは
❝フォロワー数を増やすことが目的、多ければ「インフルエンサー」になれて、何か良いことが起きる❞
というものかな。はーちゅー的なやつね。

でもそれ、浅いと思う。
目立つ存在だけを、しかも表面だけを見ていないかな?

このゴールイメージを間違えて設定してしまうと、「あんなの無理」て遠ざけたり、動けなくなってしまう。
でも中には明らかに良質な素材を持っていて、かつ、それを活かしたい気持ちもある(←ここ大事)人も多いはず。もったいない。

動けないのは、ハードルを自分で勝手に上げすぎているせい、かもしれない。


SNS発信の真実
そもそもネット発信とはなにか?
基本は、暗闇をタイマツを灯して進むような行為だ。暗闇の向こうで全世界(日本語圏に限るけど)の誰がどう見てるか、わからない。

と書くと恐ろしいけど、誰が見てるかわからない=誰もが読者になってくれる可能性があるということ、世界が拡がるということ。
しかもこのチャンスは、誰にとっても平等に、かつ無制限に、開かれている。

そしてこの暗闇的緊張感を、プラスのモチベーションとして活かすこともできる。鬼コーチに見られながら書いてるようなものだから。鬼だけど、指導力もあるコーチにね。

そんな可能性と緊張感とによって、思考と表現についてのトレーニング効果が高い。それがネット発信の本当の意味。
SNSはその手軽な第一歩だ。しかも、親しい相手から順に届くから、好意的な反応を、より速く得ることができる。だからモチベーション向上効果も高い。

その結果、

思考と表現が磨かれる ⇔ 読まれる

というスパイラルな進化が起きるのだ。
(というか、そうなるように、SNSを使うのだ)


SNSを "一方通行メディア" として使うということ

では、気軽に、安全に、かつ効果を出しながら、発信するにはどうすればいいのか?

僕の考える基本メソッドは
  1. SNSを「友達の延長」として扱わない
  2. かわりに、一方通告のメディアと割り切る
  3. ファンとの距離を取る(トップアスリートほど、女性は特に)
  4. 発信内容は「素直」に
ということ。

第一歩は、SNSを「友達の延長」として扱わないことだと思う。
もちろん、リアル友達との交流「も」併存して構わないのだけど、
  • 「友達の延長として、全世界にも向かう」
  • 「全世界に向かいながら、友達とも接する」
両者のスタンスは、大きく変わるだろう。

それが明確に現れるのが
  • 双方向か
  • 一方通行か
の違いだ。

なお、前半に書いたことと整合性がないように感じられるかもしれないけど、
  • 発信: 一方通行に実行
  • 効果: 双方向に獲得
という状態を目指すことはできる。

世界トップアスリートも一方通行

実際、海外のトップアスリートのSNSは、明確に一方通行タイプでの発信が多いと思う。自分の伝えたいことだけ、見せたいものだけ、出す。
ファンの反応には、基本、反応しない。
かわりに、見せ方のクオリティを上げる。

たとえば男子トライアスロンで現在最高の選手フロデノは、明らかにカメラマンを帯同させている。これは、スマホ画面への一瞬の露出でファンを掴む仕組みだ。
こちら、ケガで2018年アイアンマン世界選手権を欠場する報告。この1枚と短い文章で、全てを伝えている。(特にインスタはこういうの向いている)


これでいいのだ。

トップアスリートの本質的役割である、競技パフォーマンスに集中することにもつながるだろう。

もしも、「双方向にしなきゃ」というプレッシャーから動き出せないのなら、まずはその考えから変えてみてはどうだろうか。

目指すもの、目指さないもの

プロカメラマンを帯同させるためにはフロデノ級の経営力あってのことだけど、誰にとっても重要なのは

  • 方向性を明確にする
  • 同時に、力を入れないところ、やらないことを明確にする
ということだ。その上で、自分にできること、他人に協力してもらうこと(=前に書いた話)、進めていけばいい。

ただしコーチの場合には、仕事自体が本質的に双方向なものだから、SNSでも双方向性を出してゆくメリットがある。
「現役アスリートだけど、あえて双方向で」という応用戦術もありうるけど、やや奇策に近いかな。

以上、4つのポイントのうちの123について。ただ浅い手法ではあって、深いのは4つめ、発信内容は「素直」に、ということ。説明が必要なところなので、また改めて。

僕の場合

ついでに、僕自身の経験も少し書いておくと、トライアスロン始めた2010年頃から事実上の実名でブログを書き始め(ランキング等の結果で名前わかるから)、2013年頃からはブログ名まで実名に、Facebookも全て公開設定に変えた。法政で修士論文を書き始めた頃だ。

そこには明確な「目的」があった。
無名な僕が、論文を世に出してゆくという目的だ。

2014年1月に提出した修士論文は、論文の体で出すのに精一杯だったけど、その後もネット発信を続けたことで、

思考と表現が磨かれる ⇔ 読まれる

という相関がスパイラルに進んだ。

2018.01 中日新聞さん取材@幸田駅前書店

ここで「読まれる」とは、個別の情報や考えがその時に読まれ、判断されて、活用される、という一回的な現象をいう。「今のあなたに価値のある情報か、そうではないか」を都度都度ジャッジしてもらうということ。「ハッタマスユキという人間がマルっと信じられる」という一般的な状態ではない。「いわゆるインフルエンサー」には後者の状態なのも目立つけど、それは情報発信のあるべき姿ではない。

こうして、Facebookが2000人超えたタイミングで、本を出すことができたのだけど、それは2000人いたから本を出した、という「結果」ではなくて、2000人に至る「過程」、そのトレーニング効果に意味がある。

結論

まとめると、「フォロワー数を増やすこと」は目的ではありえず、また何かの手段とも限らず、結果の1つにすぎない。そこに至るまでの副産物にこそ目を向けよう。

どんな副産物がありうるかは人それぞれだけど、ここで大事なことは、なんらか方針を決めておくことで、心理的なハードルを下げること。それさえできればなんでもいいんだけど、僕のオススメは:
  1. SNSを「友達の延長」として扱わない
  2. かわりに、一方通告のメディアと割り切る
  3. トップアスリートほど、ファンとの距離を取る(女性は特に)
  4. 発信内容は「素直」に
(続く)

2つ前の投稿 "アスリートの情報発信を後押しする「人間関係」について" も併せてどうぞ。(読む気力が残っていましたら、笑)


↑ ↑ ↑
(こうして世に出た本、楽天ブックスは在庫多め、Amazonは書評サイトです笑)

2019/04/18

“糖質制限 × 長距離スポーツ” 国内事例が出はじめた

2019年4月 宮古島トライアスロン の蒸し暑さ、優勝戸原プロ、7位竹谷コーチ、そしてM45-49カテゴリ1位の青木医師、と競技力が高く、熱中症リスクも熟知される方々が続々と熱中症にハマりかけていた模様。ハマりきらずに好成績で終えるのは皆さんさすがだ。レース前半の雨で警戒心がなくなったのも効いていそうだ。
暑さ慣れしていないこの時期、ちょっとした気温湿度の上昇で、リスクが急上昇するのは、5月のショート横浜なども同じ。まったくトライアスロンとはややこしい。

宮古島ジャンプアップの成功要因4つ

そんなタフな宮古で、前年から40分以上の短縮、総合14位、最も元気なM30-34カテゴリ1位(総合Top10繰り上げ対象は戸原&栗原の両プロなので一般人1位)、と素晴らしい成果を上げた菊池朋明さんが、ブログでその成功要因を4つ挙げておられる。


長距離レースでのジャンプを目指す方なら、読んでみるといい。
まず、
  • Training Peaksを活用した量の管理
  • バイクは99%Zwift
この2つの採用者は今すごく多い。違うのは、徹底度の差ってことだろう。

では、
  • 糖質制限生活を半年間
  • 痛みをマネージメントする
この2つは、どうだろう?
❝ 考え方が合わない人は読み飛ばしてください ❞
という話であることを前提に、少し説明しよう。

“糖質制限 × 長距離スポーツ” 

このKikuchiさん、鎖骨骨折で練習できない間に体重を増やさない、という目的で禁酒と食事管理を始めたのが、そもそものきっかけ。そして、
❝ エンデュアランス系のトップアスリートが脂質代謝を上げるために糖質制限を実施していることを知りました。糖質制限は一般的にダイエット目的の人が多いので、アスリート向けにはノウハウがあまり出回っていませんでした。しかし、こちらのセミナーは超絶アスリート向けで勉強になりました! ❞
と書かれている、まさにそのセミナーの講義録が、こちら。
 “糖質制限 × 長距離スポーツ”の教科書 by 小谷修平   (2019.01, MAKESウェルビーイング・ラボ)
半年間の継続とは、小谷修平さん が勧めている期間とちょうど一致する。
連載第4回のこちら:
 4. 適応へのプロセス 
から引用すると、適応には、一般論として半年あれば十分で
  • 直後: お腹がすいてイライラ
  • 3週間後:「食習慣」として慣れてくる
  • 2ヶ月後: 運動がそれなりにできる
  • 3ヶ月後: スピード練習など、強くなるための良い練習ができる
  • 4〜4.5ヶ月: 良質な練習の効果により、元のレベルに戻る
  • 半年後: メインレースに挑める
とおおざっぱな目安が示される。小谷さん自身は、3ヶ月で既に❝ 過去最高の自分になっているのでは?という感覚 ❞が得られている。

その結果、Kikuchiさんも
❝ 今回の宮古島も内臓は快適そのもの。去年の補給の半分で走りきれました。ランではいつもジェルも受け付けなくなるのですが、今回は空腹感を感じる余裕がありました。補給を入れられるとはっきり言って楽です。戦うべき対象が減ります。 ❞
という成果を手にしている。そして栄光の宮古島トップ10まであと4人!

宮古島2015(本年落選)
なお、「痛みをマネージメントする」という点は、
 痛みのマネジメント論 by 河合隆志  (2019.03, MAKESウェルビーイング・ラボ)
ご参照を。これも故障を防ぎながらパフォーマンスを上げるための大事な考え方だと思う。

「日本語の壁」を越えて 

糖質制限でのスポーツ活用は、他にも取り組み事例を聞くようになっていて、どれもこの小谷セミナー特集記事を教科書にしてもらっている。

別の例を挙げると、たとえば「女性の筋トレ」という流行は、日本は欧米から10年遅れて、最近ようやく普及しつつある状況かなと思う。「日本語の壁」により、英語情報圏との時間差が発生しているのだろう。今やアジアでも都市域の中上位階層は英語圏ともいえ、ここからも日本人の多数派は遅れを取るようになっていくかもしれない。

そんなテーマの1つが、女性の出産とスポーツの関係、その意識差については「妊娠中&出産直後のトライアスロンby 西村知乃」などどうぞ。


こうした先進情報、これからも追いかけていくのでよろしくどうぞ。

※なお私、復帰レースは51.5kmで9月なので、糖質制限トライアスロンする予定ないのであしからず〜糖質の質を上げるマネジメント度は上げていて悪くない感じですけども

2019/04/14

ネット発信論1. アスリートの情報発信を後押しする「人間関係」について

"アスリートが現役時代にやっておくべき5つのこと"

加納由理さん(フルマラソンベスト2時間24分27秒、2009年ベルリン世界陸上女子マラソン7位)4/12Tweet、その通りだと思う。
②④Input、①③Output、⑤は全てに役立つ関係づくり、と三種類に整理できる。
"引退後に取り組んだので苦労しましたが、振り返ると現役の時から出来たことばかり"
との反省は、客観的にそうなんだけど、現実、世界トップレベルを争いながら実行するのは簡単ではないだろうとも思う。

なぜならば、レベルの高いアスリートほど、真面目で、自分で全部をやろうとしてしまうから。

一見、簡単なことだ。作家やライターではないのだから、力を抜いて自分らしい発信ができさえすればよい。いきなり「第二の為末大さん」になる必要はないし、そんなの誰も期待していないし。(そもそも為末さんだって現役時にはそんなに発信していないと思うし)

心のブレーキ

でも実際できないわけで、それは心理的なハードルが高いということだ。
1つには単純にその習慣がないということがある。さらには競技レベルが高いほど、アスリート本人のブランドイメージ的なものが上がるわけで、他のことも見合うようなレベルを、とハードルを無意識にでも上げてしまう面もあるかもしれない。

これTwitterに書いたら、スポーツ心理学の方から解説いただいた。

つまり、競争環境下におけるこれまでの成功体験が、協力的環境へと踏み出そうという時に、自分を縛ってしまう。
(日本女子体育大学さんへ向かう仙川、教養過程の講義やってます)

つながり

それでも、やったほうがいいのは明らかだ。どうすればいいのか?その答えは加納さん自身が書かれた
⑤他競技の友人作り
 仲間のおかげで着実に兆しが見えてきました。"
にある。エリート・アスリートの方には、「他人の力を借りる」という技があることを、知っておいてほしいと思う。

まずは得意そうな人を捕まえて聞いてみるといい。
「Twitterの使い方上手いよね? どんなこと考えながら書いてる?」
「私もTwitter強化したいんだけど、どこから始めればいいと思う?」
レベルの高いアスリートほど、レベルの高い他人の力を借りることができるだろう。
そのために、「⑤他競技の友人」とは、「他分野の知人」まで広げて理解するといいだろう。

そして上記ゆーこうさんTweet続きにあるように、周りも、安心できる環境を創ってあげてほしい。

ネットでの情報発信は、いろいろな方法論あるけど、本人の性格や情報処理の特性、周りの期待、などなど文脈にかなり依存するので、本人をよく知っている人がアドバイスするのが一番だ。

マインドセット

こうしてマインドセットと、習慣とを用意しておけば、引退を考えた時にスムーズに適応することができるだろう。この姿勢は、単なる情報発信とかその他5要件にとどまらず、セカンドキャリア自体を大きく変えることだろう。

こんな切り替えが上手いなと感心したのは、4月にプロ転向したばかりの川内優輝選手。公務員として抑えていた発信をはじめたら、実に素直な発信をされている。

良いことの1つは、「一方通行で伝えたいことだけ書いてくよ、双方向では使わないよ」と宣言していること。双方向プレッシャーは心理的負担となりうるから、トップ選手ほど、しないほうが良いと僕は考えている。

なお、加納さんも、③SNS発信(特にTwitter)、とツイッター重視なのは、情報の拡散力が強いからだと思っている。発信側からすれば拡散、読み手からいえば「遠くから新鮮な情報が届く」ということ、お互いメリットある。

Twitter

Facebookは最近特に内向きとうか予定調和というか、新鮮さに欠ける印象も感じていて、新たな気付きのほしい僕としては不十分で、スポーツ関係は特にツイッター側にシフト中です(リアルの人間関係とつながっている分、クローズドのグループやメッセージではよく使っているけど)。
Facebookだけで読まれてる方、 https://twitter.com/HATTA_Masuyukeyもよろしければどうぞ。