この文章では、それにより生じる誤解を説明した上で、「ふるさと納税」の(ある種の)活用によって日本の「幸福度ランキング」を急改善させる道を示したい。
1.報道内容
たとえば朝日は「日本の幸福度、過去最低の58位 「寛容さ」足引っ張る」とのタイトルで、❝ 国連の関連団体は20日、今年の「世界幸福度報告」を公表した。日本は156カ国・地域中58位で、昨年より四つ順位を落として過去最低となった。これまで40位を上回ったことがなく、4年連続の50位台となる。❞ (朝日新聞 2019.3.20)等々と伝える。この記事の内容自体は、日本のメディア報道の中でも、かなり正確に伝えている方だと思う。
この調査方法は、
❝ 現在の生活の満足度を「0~10」で答えたもの ❞まずここがベース。この調査はアメリカの大手調査会社ギャラップ社による。
その数字について、国連系の団体が
❝①1人当たりの国内総生産(GDP)②社会的支援の充実ぶり③健康寿命④人生の選択の自由度⑤寛容さ⑥社会の腐敗の少なさ、の6項目を用いて分析を加えた❞のがこのレポート。この中で、日本は④と⑤が低めだ。
2.考察
まとめると、A) 日本の幸福度が低い理由とは、日本人が現在の生活の満足度について高い数字で答えていないから。単純明快。
B) ではなぜ低いのか?とこのレポートで分析したら、④人生の選択の自由度⑤寛容さ、が低いからだと推測したということ。ここまでが、事実だ。
ここから考察に入る。
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Shiawase3.0シンポジウム(2019.3.21)発表して自転車で帰る途中のレインボーブリッジ |
まずA) 日本の回答数値が低い件について、たとえば、newspicksのコメントをみると、おすすめのコメントの吉田諭史氏が
❝ 日本、香港、シンガポールは満足度調査で値が低く出る傾向にあるのです ❞とズバリな回答をされてる。
あらゆる調査に低く回答するのだとしたら、たとえばスタバのラテを同じくらい大好きでともに毎日飲んでる人に「スタバどれくらい好きですか?」と聞いたとき、フィンランド人なら10点中10点と答えて日本人なら7点とか答えるってことだ。仮にこの場合、日本人の回答には一律に3点を上乗せしないと、正確な比較はできない。
僕自身、ドイツ系のIT企業で研修事業を担当してた時に、「日本人の満足度は低いのに、なぜそんな儲かってるんだ?」という本国の質問に(ドイツ人相手なのでロジカルに)説明を迫れらたものだった。「日本人は5点を真ん中に評価するのに対して、カトリックの国(=楽観的なひとたち)では10点満点からの減点法で評価してるんじゃないでしょうか。」との吉田氏指摘は、まさにそんな感じ。たしかフィリピンだったか、満足度はかなり高くて全然儲かってない支社があったりで。
次にB)の分析について。
「人生の選択」「自由度」「寛容」といった概念が問題である場合、最初にするべきは。用語の定義を明らかにすることだ。中学高校だって国語でそんな感じで習うよね? 少なくとも大学のレポートではキツくいわれるよね?
以下、⑤の寛容さについて、検討を進めてみる。
3.原典では?
定義を調べるには、まず「一次情報」を当たるのが基本。少なくとも大学では習ってることと思う。中学高校でも、たとえば社会科とかでそんな感じで教わってることだろう。そこで検索すると、2回以内に原典 "http://worldhappiness.report/ed/2019/" がヒットするはず。さっと眺めれば、第5要素「寛容」の原語は "Generosity" だと即わかるだろう。
そこで、MacならCommand+Fのショートカットキーでページ内検索かけると、 "Generosity" の定義はEnterキーを数回叩くだけで出てくる。
❝ Technical Box 1: Detailed information about each of the predictors in Table 2.1
Generosity is the residual of regressing the national average of GWP responses to the question “Have you donated money to a charity in the past month?” on GDP per capita.❞ (Chapter2)ここまでは、英語の中身までほとんど読まなくても、たどり着けるはず。
このあたりから、ようやく中身を読み始めるわけだけど、まずはGoogle先生のお出ましだ。すると、
❝ 寛大さとは、一人当たりGDPで「過去1ヶ月間に慈善団体に寄付しましたか」という質問に対するGWP(=ギャラップ社の意識調査)の回答の全国平均を後退させた残差です ❞と惜しい感じなんだけど、後退=Regression=回帰分析、統計用語なので、それさえ騙されなければだいたいわかる。
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http://worldhappiness.report/ed/2019/ |
4.真実
「せんせい、わかりました! 日本人は、あんまり寄付しないよね、という話ですね!」
「ハッタくん、よくできました!」かどうかはともかく、この点、国連レポートの作成者はよく理解されていて、上記の朝日記事でも(登録読者むけ部分で)、
❝ 報告の編集者で、カナダの経済学者であるジョン・ヘリウェル氏は取材に「日本の点数が低いことは、ある程度、回答スタイルによるものとみられる」と回答した。その上で、「多くの震災やフクシマの件でわかるように、日本には互いに手を差し伸べ、助け合えるつながりの強さがある」と指摘。その特長を知ることが、幸せにつながっていくとの認識を示した。❞と、日本ではおカネの寄付のかわりに、人のつながりによる支え合いが機能していることが説明されている。
つまり、
- 日本以外の(たぶん欧米キリスト教系の)社会では、おカネの寄付金額と、社会全体の幸福とは、関係が深い
- でも日本では、この指標はあんまり正しくないかも?
ここまで調べている朝日の記事は、かなり的確だといえる。(同志社大の八木匡教授の自己決定についての指摘も納得できるものだし)
5. 伝言ゲーム化
そして、この結論一行だけが、独り歩きし始める。インテリ風な方々が、「日本社会の寛容さとは」と、自説を主張しながら。
いや主張は構わないんですが、それ伝言ゲームですよ、と一言お伝えしたく。。
ちょうど、大阪の地下鉄が、堺筋(さかいすじ)線=サカイ・マッスル・ライン、とかのド直訳をして笑かしてくれたばかりだけど、状況としてはそれに近い。
結論1. 「寛容度」を急改善させる方法
❝ 一人当たりGDPで「過去1ヶ月間に慈善団体に寄付しましたか」という質問に対する回答 ❞それが寛容度の正体であるのなら、ふるさと納税によって解決するのではないか?
そもそもふるさと納税とは、「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」との問題提起から始まった、都道府県、市区町村への「寄附」なのである。(総務省ふるさと納税ポータルサイトより)寄付金だけ税金引いてあげるよ、という制度だ。
高級牛肉やら鰻やら高級フルーツやらAmazonカードやら贈ってくれる地域があるなら、それを「心のふるさと」と呼んでも、そんなに変でもないよね? 政府がふるさとだと認定してるんだし。
そして自治体は公益目的で運営されるので、「慈善団体」に準じた扱いをして構わないはずだ。
ならば、あとは回答者の意識次第。
「大阪方面から届いたAmazonギフトカードの、慈善団体的なのに寄付したお礼だよね? だから寄付した、て答えていいよね?」と日本人が一斉に考え始めれば、寄付、すなわち「寛容度」の項目が一瞬で急上昇するのは確実だ。
※金額ではなく、したかどうか、のようなので、そこ訂正年末に駆け込むケースでは、それ以外の時期に調査すると外れるけど、そもそも年末駆け込みだと届くのも集中して牛肉が冷蔵庫はいりません!てなりがちだし笑、やはり毎月定期的に寄付していただいた上でですね笑、、ぜひこのブログを日本国民のみなさまにお読みいただき、日本国の名誉を回復してもらいたいと切に願う次第である笑笑
で、ここがクリアされたとして、次どうなるか?
「次の問題は自己決定だ! いや日本人は堂々と満点を付けるべきだ! 自己肯定感が低すぎる!」と弱点を解決する方向に向かうか、それとも、「こんな雑な調査で一喜一憂しててもねー」てなるか? どっちの態度が幸福でしょうか笑
結論2. 英語で調べよう!
そもそもなんでこうなるかと考えると、日本の大手メディアさん、「一次情報を確認する」という基本をサボることが多い気がする。特に英語の場合には。僕はこれSNS上の非公開のやりとりで知ったのだけど、(教えていただいた方々ありがとうございます) 僕自身もスポーツ関係とか英語で原典に近い情報を探ることはわりとあって、習慣としてサクサクできるほうだと思ってるので、通じるものがあるなとブログに書いてみた次第。
このレポート内容について詳しいわけではないので、間違い等あればご指摘くださいませ。
まとめ:英語で調べよう!
ちゃんと読まなくても、わりとわかるIT環境あるんだから!