2019/03/23

"長距離スポーツの糖質制限" と "強度" との関係

"糖質制限×スポーツ" という世界的トレンド

昨冬のセミナーを記事化した→ 「“糖質制限 × 長距離スポーツ”の教科書 by 小谷修平」 ←は、僕が参加してるウェルビーイング・ラボ by MAKES の記事で最も読まれていて、閲覧数トータルで万に行ってるそう(表示される閲覧数は一定期間)。 GARMIN4個あたるキャンペーン でもコメントが多い。

小谷さんは、24時間で東海道新幹線ほぼ東京ー浜松間(257.1km)を走るために、このレベルの方法論を必要としていたわけで、そのストイックさにみなさん驚かれるわけだけど、"糖質制限による脂肪活用" という手法は世界のスポーツ界での一つのトレンドでもある。テレビCMのコミットしてるアレだけではないのだ。

そこで自ら試みる市民アスリートさんも周りに目立つのだけど、よくある落とし穴は「トレーニング強度」を許容限度を越えて落としがちな点かなと思う。この文章ではこの件について僕の考える現状認識と対応を書く。

世界のトレンドの一端が、トライアスロン界の生ける伝説、デイブ・スコット(Dave Scott)65歳。その脂肪食理論について、4,000字の記事「世界の長距離スポーツ理論 by デイブ・スコット」2019.03.19で書いた。みなさん関心高いようで今時点のFacebookシェア17 ↓ ↓ ↓


事例

この記事↑ ↑ ↑でも少し紹介したのが、2018年アイアンマン世界選手権エイジ8時間24分のコース記録だしたダニエル・プルーズ(Daniel Plews)教授だ。低糖質高脂肪食(LCHF)によって脂肪活用力を高めて、毎分1.2 g/kgの脂肪酸化力を獲得、これ運動不足な一般人(毎分0.28g)の約4倍、通常の市民トライアスリート(0.53g)の約2倍だ。

なお練習量が豊富なら、脂質活用能力は、何食べてようが(ある程度は】上がる、という面はある。彼の量の積み方は ブログ にも(英語で)書かれていて、日本語ではパパサラリーマンさんブログ 「IRONMAN 一般人の世界新記録で優勝した王者の練習!質も量もハンパじゃない…」 で説明されている。

ただ、これだけできる人もそうはいないし(Plewsさんもそれ続ける気はないらしいし)、彼が指導する市民トライアスリートもそこまでできないだろう。想像だけど、彼には自分の考えを圧倒的結果による証明したい、という動機があり、仮にこれだけの量は不要だとしても、万全を期して徹底的に準備をしたかったのでは?て気もする。

失敗してませんか?

自ら試して人で、それで長く続けられていて、成果も出てるのなら何も言うことはない(おめでとうございます)。ただ、うまく適応できてない人は結構多いはず。

それ、もしかして「手法に縛られている」かもしれない。
そうではなく「目的から考えよう」という話をしてみたい。

(2019幸福学学会発表の帰り道、レインボーブリッジより)

小谷さんの場合、徹底した低糖質食へと適応するまで、1度の失敗を含めてガマンの期間がある。そして良質なトレーニングができるようになるまでに3ヶ月の時間をかけている。
ただそれは、それだけのメリットが小谷さんには存在するからだ。 エネルギー産出工場を作り変えることができれば、劇的な効果が見込まれる競技だから。

でも、あなたが今ここで考えるべきは、「程度の問題」ではないだろうか。

基準を明確に

ロングのトライアスロン、あるいは100キロマラソンぐらいなら、そこまで徹底的に身体改造するメリットは、そこまではないことが多いはず。(本当に何も食べれない!とかの方は例外ね、当然)

つまり、優先順位を間違えてはいけない。目標達成のためにまずスピードが重要な状況にあるのなら、 「練習の強度を維持する」ということをまず優先するべきではないか? そこをクリアできる範囲内で、摂取糖質を下げ気味にしてゆく、というアプローチだ。

優先順位について考える場合にもう1つ重要なのは、時間軸。
あなたが今、優先すべきものは何か?ということ。勝負レースまでどれだけの時間があり、どれだけ冒険(or 遊び)を混ぜられるか?ということ。

優先順位は?

僕の印象を書いておくと、多くの市民アスリートは、単純にスピード不足ではないかな?という気はしている。スピード=パワー×技術。
たとえば…「ハーフマラソンまでは得意だけど(or 合計25kmのスプリント・トライアスロンなら強いけど)、持久力がないし、レース中に補給不足になるんです」
といったケースでなら、エネルギー問題を優先的に解決することが合理的なのだが。

で、あなたは「ハーフマラソンなら速い人」ですか?

これら理解した上で、
❝ そのほうが結果的には楽じゃないか?と直感的に思うんです。一気に減らしたほうが、早く適応できるからです。人は緩やかな成長より、変化が急激な方がおもしろいのではないでしょうか。❞

といった考えに心理的・精神的に共鳴するのなら、それは合理的な判断。
ただ、そういった状況認識や戦略なくして漫然とマネをするのならば、結果も出ないし、何よりやっててHappyでもないことだろう。

実体験

これは僕自身の僕自身が経験した話でもある。
トライアスロン開始3年、始めてハーフ113km, フルアイアンマン226kmへとチャレンジした2013年シーズンでは、
  • 「目標の練習スピード」をほぼ唯一の基準に
  • その範囲内で、「ちょっと少なめのエネルギー量で練習に臨む」
という方針でロング対応をした。ここで「少なめのエネルギー量」とはトレーニング中に限った話で、終了後はしっかりと食べてたので注意ね。当時は糖質も脂肪もともに制限せず、ただ「大量の脂肪と大量の糖質を同時に摂ること」は控えていたはず。

そして、僕なりに満足できる結果 (2013Kona 個人記録を残すことができた。といって 表彰台は33分先、王者は55分先 にいたわけで、あくまでも個人的満足に留まるものではある。

でも運動苦手な僕が、始めて3年での初チャレンジで、最も参加人数の多い激戦カテゴリで世界選手権の上位13%に入れて、という過程を含めて、自分自身に満足できているというのもHappyなことだ。僕は「結果を他人に褒められるため」にKONAを走ったわけじゃないしね。

2015宮古島に向けて、脂肪活用を本格的に試してみようと思ったのだけど、「低糖質状態でトレーニングするということ」を優先目標にしてしまい、十分な練習強度を出せていなかった。ただこれは、作戦選択の失敗ではなくて、すでに気持ち的に完了していた、という面が強いのだが。そんな実験でもしてみないことには参加動機がなくなってた的な。

結論

"長距離スポーツへの低糖質食" を試してみるなら、まず "強度" との優先順位を明確にすると良いと思う。

それが「手段に縛られない、目的から考える」ということ。

目的から考えるとは、自分の目標レースをどこまで解像度高くイメージできるか? に行き着くだろう。

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