2019/03/24

日本の「幸福度ランキング」を急改善させるのは「ふるさと納税」である?

日本の幸福度が低い、というニュースが先日大きく流れ、「日本は人生の自己決定度と社会の寛容度が低い」等々と解説されてた。だがそれを伝える日本語メディアは決定的ミスをやっちまってる模様である。原典を確認していないのだ。
この文章では、それにより生じる誤解を説明した上で、「ふるさと納税」の(ある種の)活用によって日本の「幸福度ランキング」を急改善させる道を示したい。

1.報道内容

たとえば朝日は「日本の幸福度、過去最低の58位 「寛容さ」足引っ張る」とのタイトルで、
❝ 国連の関連団体は20日、今年の「世界幸福度報告」を公表した。日本は156カ国・地域中58位で、昨年より四つ順位を落として過去最低となった。これまで40位を上回ったことがなく、4年連続の50位台となる。❞  (朝日新聞 2019.3.20) 
等々と伝える。この記事の内容自体は、日本のメディア報道の中でも、かなり正確に伝えている方だと思う。

この調査方法は、
❝ 現在の生活の満足度を「0~10」で答えたもの ❞
まずここがベース。この調査はアメリカの大手調査会社ギャラップ社による。
その数字について、国連系の団体が
❝①1人当たりの国内総生産(GDP)②社会的支援の充実ぶり③健康寿命④人生の選択の自由度⑤寛容さ⑥社会の腐敗の少なさ、の6項目を用いて分析を加えた❞
のがこのレポート。この中で、日本は④と⑤が低めだ。


2.考察

まとめると、

A) 日本の幸福度が低い理由とは、日本人が現在の生活の満足度について高い数字で答えていないから。単純明快。

B) ではなぜ低いのか?とこのレポートで分析したら、④人生の選択の自由度⑤寛容さ、が低いからだと推測したということ。ここまでが、事実だ。

ここから考察に入る。
 Shiawase3.0シンポジウム(2019.3.21)発表して自転車で帰る途中のレインボーブリッジ

まずA) 日本の回答数値が低い件について、たとえば、newspicksのコメントをみると、おすすめのコメントの吉田諭史氏が
❝ 日本、香港、シンガポールは満足度調査で値が低く出る傾向にあるのです ❞
とズバリな回答をされてる。

あらゆる調査に低く回答するのだとしたら、たとえばスタバのラテを同じくらい大好きでともに毎日飲んでる人に「スタバどれくらい好きですか?」と聞いたとき、フィンランド人なら10点中10点と答えて日本人なら7点とか答えるってことだ。仮にこの場合、日本人の回答には一律に3点を上乗せしないと、正確な比較はできない。

僕自身、ドイツ系のIT企業で研修事業を担当してた時に、「日本人の満足度は低いのに、なぜそんな儲かってるんだ?」という本国の質問に(ドイツ人相手なのでロジカルに)説明を迫れらたものだった。「日本人は5点を真ん中に評価するのに対して、カトリックの国(=楽観的なひとたち)では10点満点からの減点法で評価してるんじゃないでしょうか。」との吉田氏指摘は、まさにそんな感じ。たしかフィリピンだったか、満足度はかなり高くて全然儲かってない支社があったりで。

次にB)の分析について。
「人生の選択」「自由度」「寛容」といった概念が問題である場合、最初にするべきは。用語の定義を明らかにすることだ。中学高校だって国語でそんな感じで習うよね? 少なくとも大学のレポートではキツくいわれるよね?

以下、⑤の寛容さについて、検討を進めてみる。


3.原典では?

定義を調べるには、まず「一次情報」を当たるのが基本。少なくとも大学では習ってることと思う。中学高校でも、たとえば社会科とかでそんな感じで教わってることだろう。そこで検索すると、2回以内に原典 "http://worldhappiness.report/ed/2019/" がヒットするはず。

さっと眺めれば、第5要素「寛容」の原語は "Generosity" だと即わかるだろう。

そこで、MacならCommand+Fのショートカットキーでページ内検索かけると、 "Generosity" の定義はEnterキーを数回叩くだけで出てくる。
❝ Technical Box 1: Detailed information about each of the predictors in Table 2.1 
Generosity is the residual of regressing the national average of GWP responses to the question “Have you donated money to a charity in the past month?” on GDP per capita.❞  (Chapter2)
ここまでは、英語の中身までほとんど読まなくても、たどり着けるはず。

このあたりから、ようやく中身を読み始めるわけだけど、まずはGoogle先生のお出ましだ。すると、
❝ 寛大さとは、一人当たりGDPで「過去1ヶ月間に慈善団体に寄付しましたか」という質問に対するGWP(=ギャラップ社の意識調査)の回答の全国平均を後退させた残差です ❞
と惜しい感じなんだけど、後退=Regression=回帰分析、統計用語なので、それさえ騙されなければだいたいわかる。
http://worldhappiness.report/ed/2019/

4.真実

「せんせい、わかりました! 日本人は、あんまり寄付しないよね、という話ですね!」 
「ハッタくん、よくできました!」
かどうかはともかく、この点、国連レポートの作成者はよく理解されていて、上記の朝日記事でも(登録読者むけ部分で)、
❝ 報告の編集者で、カナダの経済学者であるジョン・ヘリウェル氏は取材に「日本の点数が低いことは、ある程度、回答スタイルによるものとみられる」と回答した。その上で、「多くの震災やフクシマの件でわかるように、日本には互いに手を差し伸べ、助け合えるつながりの強さがある」と指摘。その特長を知ることが、幸せにつながっていくとの認識を示した。❞
と、日本ではおカネの寄付のかわりに、人のつながりによる支え合いが機能していることが説明されている。

つまり、
  • 日本以外の(たぶん欧米キリスト教系の)社会では、おカネの寄付金額と、社会全体の幸福とは、関係が深い
  • でも日本では、この指標はあんまり正しくないかも?
と示唆してるようなものだ。

ここまで調べている朝日の記事は、かなり的確だといえる。(同志社大の八木匡教授の自己決定についての指摘も納得できるものだし)

問題は、「寛容」の定義の問題を記事で伝えられていないこと。この記事だけ読んだ読者は普通誤解するよね?


5. 伝言ゲーム化

そして、この結論一行だけが、独り歩きし始める。
インテリ風な方々が、「日本社会の寛容さとは」と、自説を主張しながら。

いや主張は構わないんですが、それ伝言ゲームですよ、と一言お伝えしたく。。

ちょうど、大阪の地下鉄が、堺筋(さかいすじ)線=サカイ・マッスル・ライン、とかのド直訳をして笑かしてくれたばかりだけど、状況としてはそれに近い。

結論1. 「寛容度」を急改善させる方法

❝ 一人当たりGDPで「過去1ヶ月間に慈善団体に寄付しましたか」という質問に対する回答 ❞
それが寛容度の正体であるのなら、ふるさと納税によって解決するのではないか?

そもそもふるさと納税とは、「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」との問題提起から始まった、都道府県、市区町村への「寄附」なのである。(総務省ふるさと納税ポータルサイトより)寄付金だけ税金引いてあげるよ、という制度だ。

高級牛肉やら鰻やら高級フルーツやらAmazonカードやら贈ってくれる地域があるなら、それを「心のふるさと」と呼んでも、そんなに変でもないよね? 政府がふるさとだと認定してるんだし。

そして自治体は公益目的で運営されるので、「慈善団体」に準じた扱いをして構わないはずだ。

ならば、あとは回答者の意識次第。
「大阪方面から届いたAmazonギフトカードの、慈善団体的なのに寄付したお礼だよね? だから寄付した、て答えていいよね?」
と日本人が一斉に考え始めれば、寄付、すなわち「寛容度」の項目が一瞬で急上昇するのは確実だ。
※金額ではなく、したかどうか、のようなので、そこ訂正
年末に駆け込むケースでは、それ以外の時期に調査すると外れるけど、そもそも年末駆け込みだと届くのも集中して牛肉が冷蔵庫はいりません!てなりがちだし笑、やはり毎月定期的に寄付していただいた上でですね笑、、ぜひこのブログを日本国民のみなさまにお読みいただき、日本国の名誉を回復してもらいたいと切に願う次第である笑笑

で、ここがクリアされたとして、次どうなるか?
「次の問題は自己決定だ! いや日本人は堂々と満点を付けるべきだ! 自己肯定感が低すぎる!」と弱点を解決する方向に向かうか、それとも、「こんな雑な調査で一喜一憂しててもねー」てなるか? どっちの態度が幸福でしょうか笑

結論2. 英語で調べよう! 

そもそもなんでこうなるかと考えると、日本の大手メディアさん、「一次情報を確認する」という基本をサボることが多い気がする。特に英語の場合には。

僕はこれSNS上の非公開のやりとりで知ったのだけど、(教えていただいた方々ありがとうございます) 僕自身もスポーツ関係とか英語で原典に近い情報を探ることはわりとあって、習慣としてサクサクできるほうだと思ってるので、通じるものがあるなとブログに書いてみた次第。

このレポート内容について詳しいわけではないので、間違い等あればご指摘くださいませ。

まとめ:英語で調べよう!
ちゃんと読まなくても、わりとわかるIT環境あるんだから!

2019/03/23

"長距離スポーツの糖質制限" と "強度" との関係

"糖質制限×スポーツ" という世界的トレンド

昨冬のセミナーを記事化した→ 「“糖質制限 × 長距離スポーツ”の教科書 by 小谷修平」 ←は、僕が参加してるウェルビーイング・ラボ by MAKES の記事で最も読まれていて、閲覧数トータルで万に行ってるそう(表示される閲覧数は一定期間)。 GARMIN4個あたるキャンペーン でもコメントが多い。

小谷さんは、24時間で東海道新幹線ほぼ東京ー浜松間(257.1km)を走るために、このレベルの方法論を必要としていたわけで、そのストイックさにみなさん驚かれるわけだけど、"糖質制限による脂肪活用" という手法は世界のスポーツ界での一つのトレンドでもある。テレビCMのコミットしてるアレだけではないのだ。

そこで自ら試みる市民アスリートさんも周りに目立つのだけど、よくある落とし穴は「トレーニング強度」を許容限度を越えて落としがちな点かなと思う。この文章ではこの件について僕の考える現状認識と対応を書く。

世界のトレンドの一端が、トライアスロン界の生ける伝説、デイブ・スコット(Dave Scott)65歳。その脂肪食理論について、4,000字の記事「世界の長距離スポーツ理論 by デイブ・スコット」2019.03.19で書いた。みなさん関心高いようで今時点のFacebookシェア17 ↓ ↓ ↓


事例

この記事↑ ↑ ↑でも少し紹介したのが、2018年アイアンマン世界選手権エイジ8時間24分のコース記録だしたダニエル・プルーズ(Daniel Plews)教授だ。低糖質高脂肪食(LCHF)によって脂肪活用力を高めて、毎分1.2 g/kgの脂肪酸化力を獲得、これ運動不足な一般人(毎分0.28g)の約4倍、通常の市民トライアスリート(0.53g)の約2倍だ。

なお練習量が豊富なら、脂質活用能力は、何食べてようが(ある程度は】上がる、という面はある。彼の量の積み方は ブログ にも(英語で)書かれていて、日本語ではパパサラリーマンさんブログ 「IRONMAN 一般人の世界新記録で優勝した王者の練習!質も量もハンパじゃない…」 で説明されている。

ただ、これだけできる人もそうはいないし(Plewsさんもそれ続ける気はないらしいし)、彼が指導する市民トライアスリートもそこまでできないだろう。想像だけど、彼には自分の考えを圧倒的結果による証明したい、という動機があり、仮にこれだけの量は不要だとしても、万全を期して徹底的に準備をしたかったのでは?て気もする。

失敗してませんか?

自ら試して人で、それで長く続けられていて、成果も出てるのなら何も言うことはない(おめでとうございます)。ただ、うまく適応できてない人は結構多いはず。

それ、もしかして「手法に縛られている」かもしれない。
そうではなく「目的から考えよう」という話をしてみたい。

(2019幸福学学会発表の帰り道、レインボーブリッジより)

小谷さんの場合、徹底した低糖質食へと適応するまで、1度の失敗を含めてガマンの期間がある。そして良質なトレーニングができるようになるまでに3ヶ月の時間をかけている。
ただそれは、それだけのメリットが小谷さんには存在するからだ。 エネルギー産出工場を作り変えることができれば、劇的な効果が見込まれる競技だから。

でも、あなたが今ここで考えるべきは、「程度の問題」ではないだろうか。

基準を明確に

ロングのトライアスロン、あるいは100キロマラソンぐらいなら、そこまで徹底的に身体改造するメリットは、そこまではないことが多いはず。(本当に何も食べれない!とかの方は例外ね、当然)

つまり、優先順位を間違えてはいけない。目標達成のためにまずスピードが重要な状況にあるのなら、 「練習の強度を維持する」ということをまず優先するべきではないか? そこをクリアできる範囲内で、摂取糖質を下げ気味にしてゆく、というアプローチだ。

優先順位について考える場合にもう1つ重要なのは、時間軸。
あなたが今、優先すべきものは何か?ということ。勝負レースまでどれだけの時間があり、どれだけ冒険(or 遊び)を混ぜられるか?ということ。

優先順位は?

僕の印象を書いておくと、多くの市民アスリートは、単純にスピード不足ではないかな?という気はしている。スピード=パワー×技術。
たとえば…「ハーフマラソンまでは得意だけど(or 合計25kmのスプリント・トライアスロンなら強いけど)、持久力がないし、レース中に補給不足になるんです」
といったケースでなら、エネルギー問題を優先的に解決することが合理的なのだが。

で、あなたは「ハーフマラソンなら速い人」ですか?

これら理解した上で、
❝ そのほうが結果的には楽じゃないか?と直感的に思うんです。一気に減らしたほうが、早く適応できるからです。人は緩やかな成長より、変化が急激な方がおもしろいのではないでしょうか。❞

といった考えに心理的・精神的に共鳴するのなら、それは合理的な判断。
ただ、そういった状況認識や戦略なくして漫然とマネをするのならば、結果も出ないし、何よりやっててHappyでもないことだろう。

実体験

これは僕自身の僕自身が経験した話でもある。
トライアスロン開始3年、始めてハーフ113km, フルアイアンマン226kmへとチャレンジした2013年シーズンでは、
  • 「目標の練習スピード」をほぼ唯一の基準に
  • その範囲内で、「ちょっと少なめのエネルギー量で練習に臨む」
という方針でロング対応をした。ここで「少なめのエネルギー量」とはトレーニング中に限った話で、終了後はしっかりと食べてたので注意ね。当時は糖質も脂肪もともに制限せず、ただ「大量の脂肪と大量の糖質を同時に摂ること」は控えていたはず。

そして、僕なりに満足できる結果 (2013Kona 個人記録) を残すことができた。といって 表彰台は33分先、王者は55分先 にいたわけで、あくまでも個人的満足に留まるものではある。

でも運動苦手な僕が、始めて3年での初チャレンジで、最も参加人数の多い激戦カテゴリで世界選手権の上位13%に入れて、という過程を含めて、自分自身に満足できているというのもHappyなことだ。僕は「結果を他人に褒められるため」にKONAを走ったわけじゃないしね。

2015宮古島に向けて、脂肪活用を本格的に試してみようと思ったのだけど、「低糖質状態でトレーニングするということ」を優先目標にしてしまい、十分な練習強度を出せていなかった。ただこれは、作戦選択の失敗ではなくて、すでに気持ち的に完了していた、という面が強いのだが。そんな実験でもしてみないことには参加動機がなくなってた的な。

結論

"長距離スポーツへの低糖質食" を試してみるなら、まず "強度" との優先順位を明確にすると良いと思う。

それが「手段に縛られない、目的から考える」ということ。

目的から考えるとは、自分の目標レースをどこまで解像度高くイメージできるか? に行き着くだろう。

2019/03/03

「有酸素運動で脂肪燃焼」なんて古文書に替えて、「体重設定値」という最新減量法を。

僕は体重が増えやすいのだけど、減量もわりと簡単にできる。+-8%くらいの範囲内ではあるけど。
増量できる理由は簡単、胃腸が丈夫だからです、はい。
ではなぜ減量できるのか、最近の理論的発見をこの文章ではまとめてみたい。

<減量の教科書>
最新理論の理解には、2019/1刊の『トロント最高の医師が教える 世界最新の太らないカラダ』by ジェイソン・ファン 一冊で良いかも。
一行でまとめれば、「体重の設定値」は肥満ホルモン=インスリンでだいたい決められているから、インスリンをコントロールすれば痩せられますよ、という話だ。
 逆にいえば、運動やカロリー制限は主たるターゲットではない。
Amazonレビューが(サクラでなく)割れる本は面白いこと多く、低評価派のいう通り、細かすぎる話も多いのだけれど、おかげで、どれくらい信用できるのかなんとなく伝わる。そもそも体重変化の仕組みは今の医学で完全にわかるものではなく、ましてシンプルに伝えるのは不可能。「まあようするにこんな感じ?」くらい思えたなら十分。

<「体重の設定値」という発想>
次に「体重の設定値」は、どうすれば低く抑えられるか?と考える。
僕の経験も交え整理すれば3要素あり:
  1. 睡眠
  2. 運動
  3. 食事
十分な睡眠は基本、かつ変なストレスがないことは(=変なストレスの最たるものは睡眠不足)、大前提になる。しっかり寝れてさえいる限り、あとは食欲にほどよく従って食べていれば、おかしなことにはならない。理想は7時間。

運動も、体重設定値をただしく保つ手段になる。運動によるカロリー消費量よりも、身体センサーを正しく機能させるためのメンテナンスとしての意味が強いのかもしれない。

食事については、「インスリン分泌のコントロール手段」と置き換える(or 精緻化する)ことが、この本の大きな特徴だ。

<太らない食事>
では、そんなインスリン適正化のための食事とは、
  • 減: まず精製された糖、次に加工度の高い穀物の摂取を減らす
  • 抑: タンパク質は総カロリーの2-3割に抑え
  • 増: 良質な脂肪、食物繊維をもっと食べる

これは『世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』by 津川友介 2018/04
 など信頼できる類書とも共通する話だ。

「糖質」と言っても、穀物の加工度という視点からは、精製小麦粉+砂糖の白いパンより、精米しただけの白米の方が良質と言える。『太らないカラダ』では白米なら太る原因とはいえない、との立場で、一般的な糖質制限派とも違う。
砂糖のようなものを頻繁に食べていれば、インスリンは明らかに乱れるので、お菓子の増量効果はカロリー数値以上に高いということだ。

<ファスティングの本質>
これら基本を踏まえた上で、インスリンをコントロールする有効な手段として、この本では、
  • 間欠的ファスティング=時間限定のプチ断食
を勧めている。

ただし、あくまでもインスリンのコントロールの一手段としての推薦なので、同等以上の効果があるなら別のものでいいわけで。だいだい僕は断食なんて嫌だし。

そもそも『太らないカラダ』を書いたジェイソン・ファン医師は、腎臓病・糖尿病など内臓疾患を治療する専門医であり、「運動」は幾つかある選択肢の一つに過ぎないし、運動がマトモにできなくなっている患者さんも多いことだろう。

しかし、今この文章をお読みの皆さんは、多くが運動を前提に体重コントロールをお考えであるだろう。この立場の違いは、意識して読んだ方が良い。

そんな運動派のみなさん(たぶん)に僕が提示したいアイデアがひとつ。
「強度の高いトレーニング」は、ファスティングに相当、もしくはそれ以上なのではないだろうか?

<有酸素運動の本質 〜なんてものはない!>
こう考えると、「有酸素運動で脂肪燃焼」という20世紀にばらまかれた古文書の限界を考えずにはいられない。

これ先日ツイートしたら表示3万超と割と読まれた。拡がる余地があったということで、もっと知られるべき話ってことだろう。

「有酸素運動」とは往々にして単なる「ユルいダラダラ運動」でしかない。にもかかわらず、「有酸素運動で脂肪燃焼」という昔の呪文を唱えることで、あたかも脂肪を減らすことができるかのような誤解がひろまっているのではないだろうか?

しかし、それでは現代文明で鈍った身体に対して、ユルくて閾値を下回る程度の刺激しか与えることができないのではないかな? おもいっきり運動できる健康な僕らは、しっかりと高い負荷を正しい方法でかけることで、「体重の設定値」を適正にセットすることができるのではないだろうか?
2月、粉雪の舞う都内で自転車を走らせ2015宮古以来ほぼ4年ぶり再開したムロヤさんには「いつでもレース復帰できそうな身体やね!」と社交辞令いただいたのだが太っていないこととレースできることは同じではなく、笑
・・・

スポーツにおける脂肪活用力を高めたいのなら、私が企画&執筆した連載
❝ 「糖質制限 × 長距離スポーツ」という手法の教科書 ❞
シリーズもお読み下さいな。



この手の話題もさらに深めていく予定なので、もっと知りたい方、SNSフォローください。

2019/02/24

トレーニング科学の意味  ー乳酸研究会2

1年前の今ごろ、中日新聞朝刊3面「この人」に掲載いただいたのでした。5日後には東京新聞にも同内容で。Wikipediaによれば合計302万部。普通の中日読者さんはこんなの読んでないだけで笑

記事で「〜自分なりの世界観を見つけて生きる助けになれば」と纏めていただいたのは、市民スポーツの1つの核心でもあると思う。

なぜなら、情報と刺激が過多な世の中で、身体の存在、という事実だけはシンプルだからだ。そしてスポーツの過程に正解はなくて複雑そのものだけど、ゴールで、自分の身体が今ここにあるという事実は、何にも揺るがされることのないただ1つの正解であるからだ。

< トレーニング情報の選び方 >

いっぱいあるトレーニング方法とかの選び方もそう。
結局やってみて、自分の身体に効いている感触があるなら、それが正解ということ。

とはいえ、身体は1つ、時間は有限。実行してみる前に出来る限り理解して、自分に合いそうなものを絞っておくのは大事。

その際、トップアスリートの経験則が参考にされやすいのだけど、それぞれの「背景・課題・意図」は当然に違う。みんなそれはわかっていて、それでも参考にされるのは、「物語」をイメージしやすいからだろう。競技実績で実証された人物の体験をモデルに、自分自身を物語の主人公として、ハッピーエンディングをより強く信じられるから。

一方で、科学とは、個人の物語を消去して(※エスノグラフィーなど除く)、一般化・抽象化する。これにより汎用性を得る一方で、個人的なイメージ力はどうしても落ちる。

そこで「誰もが知っている有名選手についての理論解説」がなされると、この課題はクリアできる。前回ブログで紹介した東大・近藤秀一選手のPolarizedトレーニングについての発表は好例。

< 近藤選手の「背景・課題・意図」 >

乳酸研究会の全体は、八木慶太さん記 「第15回 乳酸研究会@東大 メモ」 にまとめらてるのでどうぞ。発表者の竹井尚也先生に、後にTwitterで八木さんとタッグ組んで質問したら、

❝ 夏合宿やマラソン前は長い距離の走り込みも多少ありますが、それでも中強度:高強度=1:1くらいです。鍛錬期はしっかりPOL(Polarized)をやってLTやOBLAを向上させます。レースに近づいたらレースペースの練習も多くなります。❞
など丁寧に解説いただき、「背景・課題・意図」まで具体的に知ることができた。

< 乳酸利用に期待しすぎない >

もう1つ質問できたのは、前回書いた乳酸研究会での榎木先生の「乳酸利用」について。それはあくまでも1つの視点であって、全体的には、以下のように理解するのがわかりやすいだろう。

LT=要するに基本走力を上げろ、というシンプルな話ともえいるけど、体内の物語をより精緻に、豊かに、理解できるのは楽しい。
(なお最近TwitterにはFbとかに無い良情報多いのに気付いて多用しています、掃き溜めアカウントも多いところだけど避ければ問題ないから。Facebookとはほぼ書き分けていて、このブログで集約できればいいかなと。Fbだけ読まれてる方はよろしければTwもフォローを〜逆も)

< 長距離競技での筋損傷 >

「長距離走中に発生する筋痛・筋損傷・酸化ストレスと運動パフォーマンス」との筑波・大森先生の発表で触れられていた要素も頭に留めておきたい。

たとえばトライアスロンのバイクパートで脚が終わる、ラン後半全然走れない、等のケースは、筋グリコーゲン枯渇に加えて、筋損傷ケースもあり、どちらが自分のボトルネックなのか意識することは大事。
トレイルランニングでも、ハセツネ優勝ほかで知られる神奈川の三浦裕一さんもスピード練を始めて結果を出してるようで、高強度にはレースでの筋損傷軽減効果もありそうだ。

< トレーニング科学の意味 >

このように、運動中の体内の変化を想像でき、「体内で起きていることの物語」が見えてくると、トレーニング中も、その中長期の過程全体も、知的に楽しくなるもの。

といって僕自身はかれこれ2-3年間マトモにレースしていないし、本当に盛り上がっていたのは本に書いた2010年からの3年ほどのことなんだけど、、それでも、かつて自分の身に起きたことを振り返るだけでも十分に個人的に楽しいし、そんな僕なりの考え方がわかりやすい、と読んでくれる方もまあいらっしゃるようで、書き続けていきます。

まあいずれまた自分の身体をレーシングマシン化したくなるとは思うけど笑

乳酸研究会に出て、ライブで感じてから、SNSで文字をやりとりすることで理解が深まった面は確実にあり、やはりライブて良いなとも思う。レースは究極のライブだけど、演劇もライブ。で行ってきたのが:
舞台「虎は狐と井の中に(仮)」2/19昼、ネットニュースとかでともすれば見下しながら消費してそうな社会の底辺を重く描く。
トライアスロン日本選手権も出た慶應出身イケメン俳優米田敬さん企画講演。さとうほなみ=ほないこか(ゲスの極み乙女Dr.)さんが生命力溢れキラッキラしてる。これを間近で見れるのが小劇場!

ところでこちら、
スポーツでも多い「脳内でうまれるニセの痛み」について、
痛み専門医、河合隆志先生による徹底解説を書いてます。

インタビュー&執筆は私。
よろしければ「いいね!」してお読みくださいな。


2019/02/16

東大・近藤秀一選手の「Polarized トレーニング」@乳酸研究会

東大からの箱根駅伝出場で一般人にも注目されたエリート長距離ランナー、近藤秀一選手の具体的なトレーニング内容や乳酸濃度測定データが発表されるというので、2018.2.16, 東大駒場キャンパスの第15回乳酸研究会へ。

結論:”Polarizedトレーニング”の実践事例が聞けて良かった! 

乳酸研究会は、乳酸が有酸素運動のエネルギー源であることを啓蒙する八田秀雄教授を中心とした研究発表会。参加者数が前回の倍という大盛況、学生さんぽいスタッフが何度もイスを搬入して立ち見を撲滅されてた。


リオ五輪2016、マラソン男子25kmからのペースアップ

1つめの発表は、乳酸を作る、使う能力をテーマに榎木泰介先生(大阪教育大)が。リオ・オリンピックの男子マラソンのペースが紹介された:
  • 25kmまで:ふつうのマラソンのペースで大集団
  • 25kmから:キプチョゲが一気にペースアップ、35kmまでの10kmが29:30
  • この変化に着いていけた選手がメダル獲得
  • その一人、アメリカのゲーレン・ラップにとっては速すぎて、35kmでキプチョゲから離るが、自分の巡航ペースへの切り替えに成功し、銅メダル獲得
  • キプチョゲはそのまま独走して金メダル
このペース変化は、中距離走のような乳酸産出→消費(酸化)能力が、競技時間2時間ほどのマラソンでも重要になっている例だ。

逆に、このギア上げ=「乳酸ゾーン突入能力」が不足する選手は、いくらLT=巡航ペースで追い上げたとしても、乳酸能力十分な選手が乳酸ロケットを使い果たしてもLTペースに戻されたら、追いつけない、とも考えられるだろう。


乳酸の仕組み

筋肉内で、グリコーゲンが、乳酸に変わり、ミトコンドリアで利用される。
速筋は乳酸産出能力が高く、ミトコンドリアは遅筋に多い。
よって、乳酸は、速筋で作られやすく、遅筋で使われやすい。


”Polarizedトレーニング”

Polarized=ポラライズド・トレーニングとは、高強度と低強度とに二極分化させたトレーニング方法。Polar=極、対照的なもの。

世界のトップレベルの長距離スポーツで主流になっていると言ってもいいだろう。伝統的な表現をすれば「量より質」、最近の一般的な流行りで言えばHIIT=高負荷インターバル・トレーニング、タバタ式とか、など呼ばれている方法論が、イメージとして近いだろう。


トレーニングの三分法

まず前提として、トレーニングの三分法という考え方がある。

  • 低強度(ゾーン1): 最大心拍80%以下
  • 中強度(ゾーン2): 最大心拍80-88%、LT=閾値強度
  • 高強度(ゾーン3): 最大心拍88%以上
と分ける方法。
詳しくは、竹井尚也さんの文章、「効果的・効率的に持久的運動能力を高める”Polarizedトレーニングモデル”とは!?」 (ZONE MAG 2019.01.24) をご参照。
※乳酸研究者である竹井さん的には血中乳酸濃度が基準、HRは代替物扱いで
  • LT手前: 2 mmol/l以下
  • 閾値=LT強度: 2-4 mmol/l
  • 高強度=OBLA以降: 4 mmol/l以上
従来型の長距離トレーニングでは、中強度=LT域を中心に量を積み、負荷は軽いリカバリー程度、高負荷もあんまりやらないという方法が主流。
対してポラライズド法では、たとえば「低負荷75%、中負荷5-10%、高負荷15-20%」(※回数比、距離ではない点に注意!!)など極端に振り分ける。

こうすることで乳酸を産出し(速筋)、消費する(遅筋)能力を鍛えるようなイメージかな。(詳しい仕組み聞いていない)


東京大学陸上運動部

東大の陸上部では、練習時間が限られて、結果がほしければ「練習時間に対する競技パフォーマンス」を高める必要がある。この点で多くの市民アスリートと共通する。アメリカのNCAA所属の選手も確か週20時間以内に練習が限られているので(20時間も練習できれば十分だけど笑)、普遍的なテーマでもある。特に近藤秀一選手は理系だし。

近藤選手の練習内容

近藤選手は大学2年時から八田研究室の研究対象となり、この3年間の月間走行距離は平均して500キロちょっと。東京マラソンを2時間14分で走った直前3ヶ月には700〜800kmを走っているが、それ以外は500台くらいが多い。トライアスロンで言えば、単純に3で割れば月間170〜180 km相当だ。
それで5000 m14分、マラソン2時間14分。この1月の箱根駅伝では、彼の本来の能力なら先頭集団を争えていてもおかしくはなく、ぜひ今後の活躍を楽しみにしたいランナーだ。

そんな走力を月500 km でどのように実現するのか? と採用されているのが、このPolarな二極分化法。

実際の練習メニューとして紹介されていたのは、
❝ ポイント練習を1〜2日の休養日をはさんで行い、そこで1000m 5本、3000-2000-1000, 1万mを3:30/kmの低負荷(※10km35分で低負荷なのがトップランナー!)で走った後で全力1000m ❞
など、それ自体は何の仕掛けもないどこにでもあるメニューだ。
違いがあるとしたら、それ以外に、中〜高負荷のメニューをやらないということ。5000mをターゲットに置いた練習だということはあるが。


近藤選手の実感

近藤選手自身も学部生スタッフとして運営お手伝いしながら、ライブでコメントされていた。実感として、
  • 長めの低負荷の後での高負荷トレーニングは、糖質が減ったきつい状態から負荷をかけるので、感覚として効く
  • レースでは、高強度に慣れているので、余裕ができる
  • タイムで成長を把握するのは、どうしてもレース展開に左右されるし、夏は暑さでタイムが出ないのに対して、乳酸測定でLT(中負荷への境界)やOBLA(高負荷への境界)の数値を向上させるのは、確実に取り組みの効果を実感できる
だそうだ。

ちなみに近藤さんは紺のスーツ姿で、細すぎるということはなく、引き締まった筋肉もほどよく付いてる感ある体をされている。隣にいたので「近藤さん!」とおもわず一声かけると、、ちょっと照れたような返事を頂いた。春からは大学院に進学しつつ、実業団(GMO)にも所属し競技活動される。

発表者は、博士過程の竹井尚也先生。日本学術振興会特別研究員(DC2)、海外研究も決まっている運動生理学のエリート研究者。前半の短距離/中距離の研究が、研究者としては主な功績かな。


トライアスロンでは?

ここでの例は、あくまでも14分3秒とか121分39秒で終わる世界ではあり、ミドルやロングのトライアスロンでは別ともいえる。

ただ、デイブ・スコットが去年6月に渋谷で話していたことも、このスピード重視の考え方に近い。8時間のレースであっても途中で回復できるという考え方。
参考:私のブログの参加レポート

まとめ

ここまで読まれたアスリートなみなさんへの結論として、
  • LT域、レースペースやそれより遅いスピード域が練習の中心になっていて
  • それで伸び悩んでいるという場合には
  • Polarizedな乳酸大量産出タイプのトレーニングを増やして、それ以外を一気に低負荷化させるという方法を、一度試す価値があるかもしれない。
スポーツに正解はありません、自己判断でね。


僕の経験

僕がトライアスロンを始めた2010年の春から2014年まで、基本はポラライズドに近いと思う。例えば
  • Runレースペース: 平坦レースでの10kmランパートが1 km 3分35秒ペース
  • Run練習: 1000mを3分10秒台〜20秒台を目標に、1000m×5本くらい
  • Bike練習: 2-3km区間を使い、同じく数分間で出せるほぼMAXをインターバルで
そんなトレーニングが中心。上記の3分法によれば、最大心拍190として、
  • 低強度(ゾーン1): 151以下
  • 中強度(ゾーン2): 152-166、LT=閾値強度
  • 高強度(ゾーン3): 167以上
となり、全体が高めな印象もあるだろうけど、実際160台後半からが勝負、みたいな感覚でやってた。

2013年8月からのKONAチャレンジでは、LT域を中心に、Zone2域の時間を長くとって、ハワイへ乗り込む ↓

だから経験的に、このあたりの理論はすごく納得できる。僕がこの方法を取ったのは、英語情報いろいろみて、これくらいなら自分でもできそうなメニューだなとか、中途半端に量を積むと逆効果なんだな、とぼんやりと思ったという程度で、その頃はPolarizedという言葉は知らなかったけれども。

僕の本も、ノウハウ伝達目的の本ではないけど、過程はわりと書いてあります。Amazon→  正規の新品が少ないので、欲しい方2000円で直送しています、メッセージください

2019/02/11

【牛乳ほぼ最強説】プロテイン製品の過剰評価、ホエイ/ガゼインの誤解について

ナリキン弁護士のトレーニング

成金ならぬ「成筋」、小林航太弁護士インタビューが東大新聞オンライン(2019年2月7日)に掲載されている

僕のベスト体重が165cm62kg、モモはかなり太かった(過去形)ので、2%高い身長を加味しても上半身だけで10kg近く多い筋肉をお持ちである。鶏肉の内臓抜き丸ごとで一匹2kgちょいだったりするので、鶏4-5匹を仕込んだ上半身。←手品か

そんな小林弁護士の養鶏、ではなくてトレーニング内容は、
❝週5〜6回、体の部位を胸、背中、肩、足、腕の五つに分け「今日は腕の日」などと決め、1時間半から2時間かけてジムで徹底的に追い込みます。❞
と、上半身が8割を占める。腕だけで1時間半から2時間を追い込む、とはすごい。これくらいやらないと、これだけの筋肉は製造されないものだ。


ナリキン弁護士のタンパク補給

成筋弁護士せんせい、食事について語るに、
❝1日に150〜180グラムのタンパク質を摂取するようにしています。体重1㌔当たり2〜2・5グラム摂取すると筋肉の成長にいいので。基本的に食事で摂取できる量なので、粉末のプロテインの摂取はそこまで意識していません。❞
ジムで筋トレした直後には何らかのタンパク質を摂ってるはずで、そんな場面では粉末プロテインが便利。「そこまで意識していません」とは、こういうタイミング中心に、補完手段=文字通りのSupplement として利用しているということだろう。

逆に言えば、それ以上の意味はない。

かわりに500mlの牛乳なら、17gのタンパク質を24gの糖質と共に摂取できる。さらに数十g以上の糖質と一緒に食べれば、なんなら白砂糖をどばーっとぶっこむだけでも笑、立派なリカバリードリンクができる。乳糖ダメとか乳タンパクアレルギーだとか、500mlの量の牛乳は飲めないとかの障害がない限り。(牛乳500のめないなら17g相当のプロテイン粉末飲むのも難しい気もするけど?)

「美味しくて飲みやすいプロテイン」てキャッチコピーよくあるけど、僕の舌的には、牛乳に砂糖なりハチミツなりバナナなりを溶かしたほうが、よっぽど美味しいし。


リカバリードリンクとしての牛乳

牛乳は機能的にも極めて優秀。

東京大学 大学院総合文化研究科生命環境科学系 寺田研究室のFacebook投稿 によれば、
  • 運動終了後に糖質と牛乳を摂ると、グリコーゲン回復が高められ
  • その過程では、牛乳中の乳脂肪分が重要な役割を果たしている
ここから、以下の仮説:
  • トレーニング後に乳脂肪豊富なアイスクリームを食べるとグリコーゲンが速やかに回復され、次回トレーニングの質が上がる。
が導かれるのであり、事実これは「信州の速すぎるおっさんランナー」牛山純一さん提唱のアイシング理論
→ https://ameblo.jp/ushiyamaj/entry-12357909820.html 
とも一致するのである。彼の好む乳脂肪の良質なハーゲンダッツは、良質なリカバリー用サプリでもあったのだ。

ちなみにFacebookにこの話を書いたら、牛山さん御本人からコメントいただき、トレーニング後のタンパク質補給については
❝レースの後にアイス食べるくらいですね。ほとんど気にしてないです。❞
とのことである。彼は若くて筋肉量の減少という心配も不要なのもあるかな? まそれであの結果を出してるわけだ。

より詳しい英語論文が、"European Journal of Sport Science" 掲載
→ "Cow's milk as a post-exercise recovery drink: implications for performance and health" (Lewis J. James, Oct 2018)
  • 運動後に牛乳を飲むと、筋肉タンパク質合成、水分補給、グリコーゲン再合成に寄与し、運動後の筋肉痛/機能喪失を軽減
  • これらの点で、牛乳は市販されているほとんどのリカバリー用ドリンクに少なくとも匹敵し、しばしば凌駕する
  • 牛乳中のタンパク質はカゼイン最大80%+ホエー最大20%、この組み合わせは、運動後の筋肉タンパク質合成(MPS)を最大化するのに十分である可能性がある
  • 牛乳の筋肉タンパク質合成力は豆乳を上回る
など牛乳の優秀さが書かれている。

そもそも牛乳とは、哺乳類を育てるために最適進化した結果物であるわけで、豆乳より優秀なのは、そりゃそうだろうと。そして乳由来のプロテイン製品とは、ここから他の栄養素を捨て去った加工品ともいえる。


ホエイ/カゼイン、筋肉の付き方は同じ!

この寺田研究室は、プロテインの種類ごとの違いについての研究成果も紹介している。

プロテインの種類の違いで「ホエイは消化吸収が速く、カゼインは緩やか」と言われる。そこで「トレーニング直後はホエイ、寝る前にガゼイン」など言われることがある。
でも現実の効果を科学的に調査すると、
  • たんぱく質の合成速度は、両者とも同じ
  • 効果が明白なのは、「運動後に糖質と一緒に何らかのタンパク質を摂ること」
まあ人間なんらかのストーリーを信じていたいもので、トレーニング直後なら速いほうがいい、とかくらいは信じてみるのも悪くない。ただ、それがこうじて、
❝ホエイプロテインはムキムキになりたい男性用、ソイプロテインはしなやかな女性的な身体向け❞ (森拓郎さんがTwitter @moritaku6 で紹介する展示会でのエピソード)
なんていう嘘情報が平気で流れていたりする。
真実は、
❝日本人に多い乳糖不耐症で乳製品由来のホエイプロテインが苦手という人は大豆由来のソイプロテインに切り替えるという、選択肢の問題だけ❞ (LEE "中野ジェームズ修一さんに聞く!医師の「運動しなさい」に、大人の女が最初にすべきこと【河崎環・ママの詫び状 第11回】"2019/02/07)
力のあるライターさんによる記事で、ここ確認しないといけないくらい、このテキトーな情報は蔓延している実態がある。
(なお乳糖とかの問題あるから、牛乳を誰にでも勧めるものではないのは当然ね)

正しい情報をー

ついでに、「EMSで電気ピリピリ通して筋肉育成」、なんてのについては
❞運動を避けて筋肉量を上げることはできません。筋肉を作るのは筋トレだけ、EMSの電気刺激だけでは筋肉はできません❞ (同)
ですので。そらそーでしょ!笑
 
細かすぎる=実質の効果のない情報に振り回される方が多い気する。

大豆と牛乳の違いにしても、完全ベジタリアンでも筋肉ムキムキな方もいるし(スコット・ジュレクもそれ系かな)、そうたいした差ではないはずだ。

必要なのは、
  1. 的確な情報源をもとに
  2. 自分の頭で論理的に考えて
  3. 「おカネで買える飛び道具」に頼らない!
ことだよねー。
 
ちなみに、Amazonのプロテイン製品のリンクを貼るとアフィリエイト率8%=5000円なら400円バック、1800円の本だと3%=54円で、こうした補給食系はブロガー的には美味しい笑。
なのでリンクは貼っとこ笑  まあ実際、ジムのトレーニング直後とか、バイクでロングライドしてから長い休憩とか、あると良いタイミングはあるから。

まずは正確な知識ですよ。『使える筋肉・使えない筋肉 アスリートのための筋力トレーニングバイブル 』ぱらぱら読んでみたけど、たしかに良書です。

なにも買わん!という方も、私担当してる→ https://www.facebook.com/wellbeing.labo/ ←フォローくださいな。人生アクティブ100年時代をテーマにいろいろ書いたり集めたりしております。

2019/01/06

40代からタイムを上げる基本:VO2maxとLT

WIRED記事
「40代からマラソンのタイムを上げるには? ランニングと年齢をめぐる最新科学」 との2019/1/2付の長いWIRED記事。こんなタイトルつけられたら読まずにいられない笑。いろいろ書かれているけど、まとめれば、

  1. 最大酸素摂取量(VO2 max) =maximal oxygen consumption, Vはvolume
  2. 乳酸性作業閾値(LT値) =lactate threshold, もしくは無酸素性作業閾値/AT=Anaerobics Threshold

を高める目的でトレーニングしろ、てことだと解釈した。

この2つは「長距離競技の3大要素」でもある。残りの3つめはエコノミー=動作技術だけど、性質が違うので、ここでは触れない。

1つWIRED編集部につっこんどくと、記事の内容は、最新科学をまとめた情報集というより、アメリカのWIRED編集長NICHOLAS THOMPSON44歳が自ら体験したものを、じっくりと書き上げたルポルタージュだ。サブタイトルの「最新科学」とは日本側がPV獲得のために、、、読者のことをおもって気を効かせ追加した風でミスマッチ感ある。

その体験内容は正しく、大迫傑が日本記録更新したシカゴ2018で2:38の自己ベストを出してておめでとう。もともと30歳で2:43で走っている力があり、ただ若さと体力に任せた練習を漫然と続けていたので、加齢により落ち始めた、という美味しい状況=そら何やったて効くよ笑=からのスタート。で実際、意図を明確にしたトレーニングに切り替えて、出した2:38という結果が素晴らしい。

アメリカ版の原題は "AN AGING MARATHONER TRIES TO RUN FAST AFTER 40"  "TRIES"=数々の試み、という表現がより正しい。日本版PV気にしすぎ気を利かせすぎ(笑

記事には他に「ビーツのジュースを飲む」とかあるけど、僕の読者にそれ真に受ける人そんなにいないと推測する。要するに、いろんな野菜果物食べようね、という話だよね。


1.VO2maxはどうすれば高められるのか?

その定義からシンプルに考えれば、「エンジンの排気量」に喩えられる最大酸素摂取量を高めるには、2〜5分間くらいの「ほぼオールアウト」(正確にはちょっと手前)のインターバルが主となる。1回に3−6本くらい、週1−2回の頻度で、2-3週間続けてみればいい。

ランニングなら1−2km走。バイクならローラー(インドアトレーナー)の2〜5分間走がやりやすい。時速40kmで2km走ると3分間、60kmhなら2分(無理)。この強度を公道でやるのは僕は怖い。

これを応用すると、「2〜5分間のパフォーマンスは、どのようにすれば上げれるか?」という問いになる。その答の1つがタバタ式などの10〜30秒間の高強度インターバル(HIIT)。最近流行ってるのは、そのスポーツ科学的なエビデンスが出てきたことが大きい。ただトップ選手たちはエビデンスなんて待たずにとっとと実行してきたこと。エビデンス依存は弱さの表れってこともあるから注意だ。

その中間、ランの400mインターバルも同じ効果がある。

これだけです。きちんと実行できる限り←これ難しい

最新スポーツウォッチは(僕のSUUNTO Spartanも)推計値を出してくれるけど、しょせんは推計値。それで速くなるとは思えない。ただ、「気分がアガる」という効果はあるだろう。副作用もあり、余計な情報に脳のリソースを取られて、本質への集中を妨げられかなねいことだ。

最新デバイスの意味はそこではなく、より正確なGPS計測により、1kmや2kmのタイムをより正確に把握できることにある。正確な1kmを走ったタイムなら「絶対的な数値」だ。
HIIT系は感覚に頼るのが基本だけど、バイクのパワーメータならクリアできるか。スイムの25mダッシュインターバルもそうだけど、プールの集団練習は水流に乗るので、それ次第でタイムが変わる。


2.LTはどうすれば高められるのか?

エンジンの「レッドゾーン」の境目という喩えが的確な乳酸(or 有酸素運動)閾値には、やはり定義から、20−60分間の一定ペース走が基本。記事にあるランニング15km走もその1つだ。僕が好きなのは徐々にペースを上げて最高速フィニッシュするビルドアップ走。

こっち側はやってる人多いと思われ、そう問題ではないだろう。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10213020049271601&set=a.1912044116487

では、なぜ40歳からこの2つを意識するべきなのか?

その大きな理由は、記事にもあるように、筋肉量は年齢とともに減少するから。
それにより、まずVO2MAX域のパフォーマンス低下を起こす。
上限が低下するわけだから、持続可能なLTゾーンも低下する。

逆に言えば、30代くらいまでは、意図の不明確な練習でも、筋肉量は維持され、パフォーマンスも高く維持しやすいのだろう。特に練習量が豊富に取れる場合には。

しかし加齢により疲労回復も遅れるから、昔のような練習の質と量もできなくなる。これは仕方ない。差がつくのは対応で、そのために、まずは課題を明確にしておくべきだ。

このWIRED記事は、実際それで効果出たよ、という証拠固めといえる。


僕はスピード教の信者です

よく見かける(気がする)のは、
  • LT側=持久力に偏重し、
  • VO2側=スピード不足のまま
であるために、トータル成績が伸び悩むケースね。この場合、「練習距離は多いのに???」てなりがち。LT錬(正確には強度不足LTもどき練)は距離を稼げるから。

初心者レベルでは、「高強度で追い込む感覚」に慣れていないことによる「強度不足LTもどき練」も多い気がする。

僕の経験的学びでは、
  • エコノミー=動作技術の向上には、最高速度チャレンジが役に立つ
  • 特にバイクでは、短距離のスピード向上は、距離を伸ばしても持っていける
などある。

かくして「長距離競技の3大要素」が全てクリアされるわけで、結局、スピードが多くを解決すると思っている。

さらなる長距離化
競技時間が90分を超えてくると、さらに「脂肪燃焼能力」というテーマが浮上する。この点は改めて