2019/05/04

インスタ活用の技術:なぜキプチョゲよりキリアン・ジョルネのフォロワー数が多いのか? - ネット発信論5.

SNSユーザ数をスポーツ視点でみると、
  • 月間ユーザー数:facebook 22億 Intsagram 10億
  • スポーツファンのアカウント数:facebook 6.5億 Intsagram 1.6億
出典:「Twitter社とFacebook社が描くアスリート × SNSの近未来予想図」by 五勝出拳一 2018/07/20
との昨夏の数字があり、スポーツファンの率はフェイスブックが高い。

ただ、トップアスリートからの発信なら、インスタグラムが明白に優位だろう。
【スポーツとは、ビジュアルの世界】(上記記事)であり、トップアスリートは最高のインスタ映え素材だから。

たとえば人類最高の長距離ランナー、エリウド・キプチョゲでは
内容はほぼ同じ、投稿数はツイッターが4倍多いので、投稿数あたりではインスタのパフォーマンスは約16倍。ファンが単純に媒体の好みで選んだ結果がこうだ。

もっとフォロワー数を多いのがトレイル・ランニング界の神、キリアン・ジョルネ。


キリアンは、トレランの神とはいえ競技人口はとても少ないし、登山やランニングの一部には知られるとしても、一般人レベルなら知名度ほぼゼロといっていいのではないだろうか? 僕は普通の人よりはこの界隈に近いと思うのだけど、それでも彼の名を知ったのはせいぜいこの1年くらいのことだ。
一方でキプチョゲは、何度も世界的なトップニュースになっていて、知名度最高レベル。(まあ「また凄いケニア人が出てきたみたい」くらいの一般人さんの方が多いだろうけど笑、巨大な世界のランニング人口だけでもファン多いはず)

なぜキリアンのフォロワー数は多いのか?

逆に言えば、なぜキプチョゲは、その実力&知名度に見合うフォロワー獲得ができていないのか?
(という問いは論理的には成立するとしても45万いるんだからイジワルなツッコミなのだが笑、知名度的にはケタが1つ以上たりないともいえるわけで) 

まず、歴史と算数で考えると、SNSファン作りの歴史が違う。
Twitterというサービスは2006.03創設。キリアンのアカウント開設は2009.09と早い。キプチョゲは2014.04。投稿数では14倍の差があり、キリアンの継続ぶりがよくわかる。

Instagramは2010.10創設、キリアンはいつから?とページダウンボタンを押し続けて発見、2011.11に最初の投稿をしている。こちらがその最初の7枚。普通に普通だ笑

キプチョゲは2016.08から。Breaking2が2017.05なので、たぶんその本格化の頃。NIKEさんのマーケティングの意向もありそう。

つまり、キリアンは
  1. Twitter開始が早く
  2. 投稿を続けて、(小さなはずの市場で)コアなファンを育て
  3. Instagram登場後の対応も素早く
  4. Twitter上のファンを持って行けて
  5. Instagram特有のファンを増やしていった
と考えられるだろう。行動の継続が数字に表れている。

さらに内容面まで見ていこう。表現=国語&図工の応用問題だ。

キリアンのインスタ投稿の特徴)
  1. 彼だけが目にしていて、
  2. 普通の人なら生涯一度も行かないようなエキストリームな風景は、
  3. 「このインスタでしか見られない画像」であり、
  4. かつ、彼の「結果に至る過程」が見える
つまり、登録するべき必然性が大きい。初期は普通でも、だんだんとクオリティを上げている。さっき紹介した動画はその典型。普通の人なら生きて還れない級のエキストリームさ加減だ。

一方でキプチョゲは、スタジアムや記者発表など公的な場の報告が多い。伝統的大企業の広報内容に近いかな? まあNIKEという巨大企業の第二広報部的な存在なので(VaporFlyもBreaking2も彼のために用意されたようなものだし)この点で驚きはないといえばないか。

動機の違いも大きい。キプチョゲは、自分から言わなくても、メディアがいくらでも報じてくれる。キリアンは自分から発信しなければ、狭い世界を超えることができない立場だ。

結局キリアンは、自らリアルに体験してきたエキストリームな現場を「素直に」伝える行動を継続している。その蓄積が、Instagramという相性の良い媒体の登場によって加速された、といえるだろう。

・・・

とか説明してみたところで、キリアンのエキストリームな山岳写真ぶりは、あらゆるロジックをふっとばす破壊力ある笑

僕のSNSは、


最近はどっちかといえばTwitter重視な感じです。インスタは気まぐれ。
内容はそれぞれ別なので、関心ある方は両方をフォローください。

<参考記事>
「全てのアスリートはインスタグラムをやるべきだと思う理由」 えとみほ(江藤美帆) 2018/02/15
昨夏の。「アスリートとインスタグラムはめちゃくちゃ相性がいい」という理由を、
理由1:炎上しづらい(適度にクローズド)
理由2:ファンが勝手に親近感を持ってくれる
理由3:フォロワーは持ち運び可能な個人の資産になる
と説明する。1−2は、下記の「一方通行」の話と通じる。インスタが一番一方通行的だから、3はインスタに限らない、 ネット発信すべてに共通する話だ。
<シリーズ投稿>
ネット発信論1. アスリートの情報発信を後押しする「人間関係」について
ネット発信論2. SNS発信は "一方通行" でいい
ネット発信論3. ブレーキ要素を「認知的不協和」理論で解剖する 
ネット発信論4. 「成長の過程」を共有する

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