2019/01/06

40代からタイムを上げる基本:VO2maxとLT

WIRED記事
「40代からマラソンのタイムを上げるには? ランニングと年齢をめぐる最新科学」 との2019/1/2付の長いWIRED記事。こんなタイトルつけられたら読まずにいられない笑。いろいろ書かれているけど、まとめれば、

  1. 最大酸素摂取量(VO2 max) =maximal oxygen consumption, Vはvolume
  2. 乳酸性作業閾値(LT値) =lactate threshold, もしくは無酸素性作業閾値/AT=Anaerobics Threshold

を高める目的でトレーニングしろ、てことだと解釈した。

この2つは「長距離競技の3大要素」でもある。残りの3つめはエコノミー=動作技術だけど、性質が違うので、ここでは触れない。

1つWIRED編集部につっこんどくと、記事の内容は、最新科学をまとめた情報集というより、アメリカのWIRED編集長NICHOLAS THOMPSON44歳が自ら体験したものを、じっくりと書き上げたルポルタージュだ。サブタイトルの「最新科学」とは日本側がPV獲得のために、、、読者のことをおもって気を効かせ追加した風でミスマッチ感ある。

その体験内容は正しく、大迫傑が日本記録更新したシカゴ2018で2:38の自己ベストを出してておめでとう。もともと30歳で2:43で走っている力があり、ただ若さと体力に任せた練習を漫然と続けていたので、加齢により落ち始めた、という美味しい状況=そら何やったて効くよ笑=からのスタート。で実際、意図を明確にしたトレーニングに切り替えて、出した2:38という結果が素晴らしい。

アメリカ版の原題は "AN AGING MARATHONER TRIES TO RUN FAST AFTER 40"  "TRIES"=数々の試み、という表現がより正しい。日本版PV気にしすぎ気を利かせすぎ(笑

記事には他に「ビーツのジュースを飲む」とかあるけど、僕の読者にそれ真に受ける人そんなにいないと推測する。要するに、いろんな野菜果物食べようね、という話だよね。


1.VO2maxはどうすれば高められるのか?

その定義からシンプルに考えれば、「エンジンの排気量」に喩えられる最大酸素摂取量を高めるには、2〜5分間くらいの「ほぼオールアウト」(正確にはちょっと手前)のインターバルが主となる。1回に3−6本くらい、週1−2回の頻度で、2-3週間続けてみればいい。

ランニングなら1−2km走。バイクならローラー(インドアトレーナー)の2〜5分間走がやりやすい。時速40kmで2km走ると3分間、60kmhなら2分(無理)。この強度を公道でやるのは僕は怖い。

これを応用すると、「2〜5分間のパフォーマンスは、どのようにすれば上げれるか?」という問いになる。その答の1つがタバタ式などの10〜30秒間の高強度インターバル(HIIT)。最近流行ってるのは、そのスポーツ科学的なエビデンスが出てきたことが大きい。ただトップ選手たちはエビデンスなんて待たずにとっとと実行してきたこと。エビデンス依存は弱さの表れってこともあるから注意だ。

その中間、ランの400mインターバルも同じ効果がある。

これだけです。きちんと実行できる限り←これ難しい

最新スポーツウォッチは(僕のSUUNTO Spartanも)推計値を出してくれるけど、しょせんは推計値。それで速くなるとは思えない。ただ、「気分がアガる」という効果はあるだろう。副作用もあり、余計な情報に脳のリソースを取られて、本質への集中を妨げられかなねいことだ。

最新デバイスの意味はそこではなく、より正確なGPS計測により、1kmや2kmのタイムをより正確に把握できることにある。正確な1kmを走ったタイムなら「絶対的な数値」だ。
HIIT系は感覚に頼るのが基本だけど、バイクのパワーメータならクリアできるか。スイムの25mダッシュインターバルもそうだけど、プールの集団練習は水流に乗るので、それ次第でタイムが変わる。


2.LTはどうすれば高められるのか?

エンジンの「レッドゾーン」の境目という喩えが的確な乳酸(or 有酸素運動)閾値には、やはり定義から、20−60分間の一定ペース走が基本。記事にあるランニング15km走もその1つだ。僕が好きなのは徐々にペースを上げて最高速フィニッシュするビルドアップ走。

こっち側はやってる人多いと思われ、そう問題ではないだろう。
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=10213020049271601&set=a.1912044116487

では、なぜ40歳からこの2つを意識するべきなのか?

その大きな理由は、記事にもあるように、筋肉量は年齢とともに減少するから。
それにより、まずVO2MAX域のパフォーマンス低下を起こす。
上限が低下するわけだから、持続可能なLTゾーンも低下する。

逆に言えば、30代くらいまでは、意図の不明確な練習でも、筋肉量は維持され、パフォーマンスも高く維持しやすいのだろう。特に練習量が豊富に取れる場合には。

しかし加齢により疲労回復も遅れるから、昔のような練習の質と量もできなくなる。これは仕方ない。差がつくのは対応で、そのために、まずは課題を明確にしておくべきだ。

このWIRED記事は、実際それで効果出たよ、という証拠固めといえる。


僕はスピード教の信者です

よく見かける(気がする)のは、
  • LT側=持久力に偏重し、
  • VO2側=スピード不足のまま
であるために、トータル成績が伸び悩むケースね。この場合、「練習距離は多いのに???」てなりがち。LT錬(正確には強度不足LTもどき練)は距離を稼げるから。

初心者レベルでは、「高強度で追い込む感覚」に慣れていないことによる「強度不足LTもどき練」も多い気がする。

僕の経験的学びでは、
  • エコノミー=動作技術の向上には、最高速度チャレンジが役に立つ
  • 特にバイクでは、短距離のスピード向上は、距離を伸ばしても持っていける
などある。

かくして「長距離競技の3大要素」が全てクリアされるわけで、結局、スピードが多くを解決すると思っている。

さらなる長距離化
競技時間が90分を超えてくると、さらに「脂肪燃焼能力」というテーマが浮上する。この点は改めて

2018/11/13

24時間闘う精神力とは「言語力」である ー 神宮24時間マラソン観戦記2

<24時間マラソンという競技>
それは、日本人選手が(まだ)世界トップレベルで戦える競技。

日本人は、長時間を耐える活動にはおおむね強く、マラソンも42kmが単なる長時間競技であった時代には強かったが、アフリカ系がスピードを持ち込むと(=より正確には、腱の反発力を持ち込むと?)通用しなくなった。
大迫傑選手などはすでにアメリカ拠点のグローバルエリート、日本人の枠を飛び越えているし。(1億円分の所得税納付先もアメリカだよね?)

そこで、より長いところに追いやられて活路を求めてゆく。オリンピック実質最長競技の50km競歩も強い。(※自転車ロードは時間は長いけど根本的にパワー&スピードの競技であって耐久度は低い)

人気競技になってケニア選手が参入すれば別かもだけど。ただ、腱の反発力を活かせないスピード域になると、日本人体形のメリットも出しやすいかもだ。いつかガチ対決を見てみたい。

<都心で世界トップレベル大会、て知ってました?>
マイナー競技なのは「神宮外苑24時間チャレンジ・ウルトラマラソン」という存在を、僕も去年くらいまで知らなかったくらいだ。13回続いているってことは2005年から? 神宮外苑という都心で、最近では何十人かの参加ランナーのうち10人前後くらいが世界上位で戦えている、という高密度な場であるのにもかかわらず。


<24時間たたかえますか>
この長時間を、どう戦い抜くのか? 
3位表彰台、小谷さん11/11のゴール7時間後のFacebook投稿https://www.facebook.com/shuhei.odani の一文を紹介しよう。
2回弱気になる時間帯がありましたが「次の90分でキロ6プラス10秒くらいのペースを維持しつつ、喉の渇き感を押さえて、エネルギー収支も回復させる」みたいに前向きな小さな目標を立てて自分をコントロールできました。
に、大きな手がかりがあると思う。

ここに含まれる要素とは
  • 時間: 次の90分、というブロック内での身体反応の予測
  • ペース: 1km6分(=24時間で240km、目標より遅い)のさらに10秒プラス、という、いわば損切り=損失確定の判断
  • 喉の渇き感とエネルギー収支: 動力源Input、パフォーマンスOutput、それぞれの感覚
といった各種視点での「仮説」だ。

これは24時間徹夜の真っ最中、午前3時とかのレース中だ。そんな状況できるのは、ふだんの練習の中からそうしているからだろう。

<言語化>
僕は、こんな「言語化能力」が、長距離レースに必要な「精神力」の正体であると思う。

「精神力」とは、小谷さんの別投稿での定義では「心のマネジメント」。心とは(概ね)脳であり、脳は(概ね)言語によりマネジメントされるから。

辛抱我慢の「ド根性」は、たしかに有効ば場面はあるけれど、それは映画「ワイルド・スピード」のゼロヨンレースで魔改造したブースタースイッチのようなもの。押したくなった時に押してしまったら負け。その前に、できることはいろいろある。

旧ブログに書いた、
" 自分なりの高効率動作を、日常的に、言語表現しておく。そしてレース終盤のキツさの中で、「このように身体を動かし続ける」と言語化したことを、確信をもって、脳内リピートする。"
(「動作の言語化」が長距離レース終盤を救う 2018.8.25)
とも通じる話だ。 


2018/11/11

地味に熱い! 神宮外苑24時間チャレンジ2018観戦記

11/28セミナー「糖質制限×脂肪燃焼」で長距離レースを戦うということ→ https://peatix.com/event/526106/ の小谷修平講師を応援すべく、かつ彼のメッソドの成果を確かめるべく、「神宮外苑24時間チャレンジ・ウルトラマラソン」11月11日11時のゴールちょっと前を観戦。

10日11時にスタートし、絵画館を囲む1,325mの楕円的な周回路をぐるぐるぐるぐるグルコサミン。優勝者で200周以上。日の入り16:38、日の出6:12。前後30分くらいは日光もあるけど、12時間以上の夜を走り通す。夜が明けて5時間走り続けてゴールだ。

走破距離は、東京駅前から東名高速で愛知県境くらいいく。1日でね!

痛そう、苦しそうなランナーは例外で、基本みんな淡々と走っている。トータルタイムが速い人ほど、終了直前でもすごいペースアップをするわけでもなく、軽いジョグをしているようでもある。さすがに顔の疲労感やウェアに浮き出た汗の結晶は、軽くないけど。
(着いたの終了直前なので写真とる暇なし! 誰かの撮った こちら とかご覧ください)



運営がおもしろくて、選手のサポートは登録された「ハンドラー」1名のみ、交代不可。1週7分とかで周り続けるので、補給食用意したり、タイム確認したり、忙しい。エイドも24時間営業だ。

上の 公式マップ 7番の下あたりがこの大会専用の基地となり、エイドの公式テント、ハンドラーや応援の私設テントなどがこじんまりと固まる。
コース沿いのエイドでは、ハンドラーが選手に渡すためのコップが置いてある。ひと目でわかるように、みんな変なコップを選んでいて変だ笑。

11時になると笛?が鳴り、選手が一斉に立ち止まって計測開始。タイミング・チップで周回カウントまでは自動計測されていて、最後の1周だけ手計測だ。選手は自分の番号の札を置き、スタッフがチョークを引いて回る。あとで、そのチョーク位置の距離と札を記録する。動画とってみた↓
小谷講師はベスト記録(256.8km)に迫るセカンドベストの255kmと279m、大満足とのこと。レース中は毎時30gの糖質を液体だけでとり、おかげで胃腸系のトラブルも無縁だったと。

糖質制限はガチで、ゴール後くばられたカレー食べながら、「米なんてずいぶん食べてなかったなあ」と。即食べない生活に戻るそうです。


来年のアメリカの「6日間走」=1周333mの室内トラックを延々走り続ける=が大目標としてあり、良い途中経過ともなったようだ。

優勝の高橋伸幸さんは268km! 総合ポイントで決まる世界選手権派遣ほぼ決定だそう。


そして2位の井上真悟さん、、、はたまたま目を閉じてだけで生きてます。ゴール後は皆さん概ね元気で楽しそう。トライアスロンよりも人数が少ないし、全員友達て感じになるんだろう。


ハセツネや列島横断のように、夜通し走るレースはランニング系わりとある。こちらにはトレイル系のコースバリエーションが無いけど、単調な環境の中で、シンプルな動作を極める競技なんだろう。

今日は、トライアスロンは宮崎のエイジ日本選手権、自転車はツール・ド・おきなわ、と市民レーサーたちの日本一決定戦が重なる1日。こちらは近場で淡々小規模なんだけど、地味に熱い大会だった!


2018/11/04

大迫傑の腕振りの進化と、典型的日本ランナーとの差 - ランニング動作論3


重たいものが動いた時、そこには力が発生している。

「腕振り」についてあてはめると、腕だけではせいぜい3kg(62kgの私のTANITA計測)。しかし、腕により駆動される胸郭全体まで含めれば10kgとかになる。両側あわせた回転運動としてみれば20kgとかになるだろう。

つまり、腕振りで最も意識するべきは腕ではない。胸郭の横回転だ。
胸郭の動作により運動エネルギーが生まれる。そのコントロールのために腕を動かす。

これ、たしか僕のトライアスロン(とラン)1年目の2010年のレース終盤、脚が止まりそうになった時に降りてきた感覚がもとになっていると思う。おかげで、明らかに練習の蓄積のないランを武器にできたかな? まあその成績レベルでは、という程度だけど。またこの視点で、トライアスロンでラン世界トップレベルのジョーゲンセン選手や上田藍選手の動きも納得できた。

では、人類最速、陸上エリートランナーではどうか?
その好例な動画がTwitterで流れてきた。大迫傑選手の学生時代からの、腕振りの差だ。

今

上は今の走り。
アフリカ系ランナーみたいに走っている。

路面はクロスカントリーで、NIKEヴェイパーフライの反発力は削がれているだろう。(NIKE契約の世界のトップランナーはみな不整地で多くの練習をしている気がする)

学生時代


下は学生時代のトラック。
小指の後ろで着地するフォアフット走なのは,
当時から変わらない。






2018/11/03

重たいものが動いた時、そこに力が生まれている - ランニング動作論2

10/26夜, ウェルビーイング・ラボ by MAKES ランニング講座を開催。このプロジェクトは100年人生を幸せに生きるヒントを提供してゆくのだけど、1つの軸で、市民アスリートの支援もしていきたいなと企画してみた。

前回ブログ「スポーツ動作を説明するということ」では、
"「質の高い練習」とは、まずは「質の高い動作を導く練習」である "
とさらっと書いた。質問とかいただいていないから、みんなよくわかったのかな?
「じゃ、質の高い動作って何ですか?」
と僕が訊いたら、どう答えますか?

そんな会話をしてみたいな、と企画した講座。というか、ふだん書いてる話ってどれくらい伝わってるのかな? と確かめてみたい気持ちもあって。(実際伝わっていないこと多かった、、)
「なにそれ? そんな話今聞いた!」という方、まずはフェイスブック https://www.facebook.com/wellbeing.labo 「いいね!」か「フォロー」ください。いいね!の方が強度が強く、更新情報が表示されやすいようです。(Facebookは書いても表示されない投稿が多いから)
質の高い動作、とは、まずは物理法則に沿っていること。

僕の考えでは、ニュートンの運動方程式、「質量×加速度=力」という仕組みに大きなヒントがある。理科のテストではこの式に数字を入れて計算したけど、アスリートに必要なのは「起きている事実」として理解すること。つまり、
重たいものが動いた時、そこには力が発生している。
重たいもの、とはランニングとバイクなら、まず思い浮かぶのは脚。タニタ体組成計によると体重62kgの僕は片脚11-12kgらしい。(どこで切断するんだ?)

ということは、ランニングなら、ヒザを前に振り出して、振り子のように重力に任せて接地すれば、脚だけで10kg米袋、もしくは、2Lペッドボトル6本入りの箱をヒザの高さからドスンと落としたときのパワーが発生しているわけだ。体重40kg台とかの軽量女性でも大差はなく、せいぜい1本2本のペッドボトルを抜いたくらいで、その重量感は変わらない。

バイクのペダリングとは、そのペットボトル入りダンボールを、時計11時あたりから前に投げ下ろすパワーだ。この重力感を無視した筋稼働は無理。

それ以上に重たいのは体幹。どこで切り取るかにもよるけど、骨盤まわりだけで15kgとか20kgとかになるのではないだろうか。実際には身体の各パーツは連動するから数字に意味はなくて、要するに、とても重たいのが体幹。スイムはこの使い方で大きな差が出る。

だから体幹から順に考える。
いいかえれば、重たいものから順に考える。

よくある誤解は逆だ。
手足の末端の動きをマネしてしまう。
いいかえれば、軽いものから順に考えてしまう。

それは無理だよね。よくある「フォアフット論争」の無意味さも結局はここに尽きる。もちろん、マラソン2時間6分の選手が5分、4分、と目指すならまた別の意味もあるけど、あなたはそうですか?

以前からブログで書いてきたランニング技術についてのいろいろな考えも、軸はこういうことだ。フェイスブックで紹介した猫の大ジャンプ動画も仕組みは同じ。これをランニングの腕振りに応用した話はいずれ書こう。
しつこく書いておくと、早くしっかり書いて欲しい方はフェイスブック https://www.facebook.com/wellbeing.labo 「いいね!」「フォロー」を。たくさんあれば早くしっかり書いて、ライブもまたやります!
なお自然界の法則によれば、生き物は年をとる。先日ハロウィンで逆らって13年前に(ネット内で)戻ってみたのだけれど、結論として、生き物は年をとるということがよくわかった笑
だったら加齢した生き物なりにパフォーマンス出していこう、という話は、改めて。

2018/10/28

スポーツ動作を説明するということ

金曜夜、ウェルビーイング・ラボ夜会 「走ることについて考える夜 - 体重活用編」 を実施。最近Facebookやブログで書いてきた動作の共通要素について90分くらいライブ説明した。参加のみなさんに喜んでいただき、僕も発見が説明しながらの発見も多く、やってよかった。

同時に思ったのは、ふだん文字で書いてきたことも伝わっていないものだなあ、ということ。スイム動作については東京近辺の方には有料講習会で説明してきたので、その範囲内では誤解を解消できているつもりだけど、ラン・バイクについて時間をとって説明する場はこれまでなかったなあ。今後もやってみたい。(これ系のは Facebook で告知しています)

「or条件」である
スポーツ動作の説明は難しい。厳密にいえば不可能だ。そうわかっていても僕は説明するのが大好き。

よく起こる誤解は、たとえば「ABC」と3つの話をしたときに、
正解=A and B and C
と「全要素のand条件」で「正解を求める」方向で受け取られがちなこと。
この方法では、「一見キレイなフォームだけど速くない」、という状況に陥りやすい気がする。

絶対的な正解が存在するのは高校生まで、センター試験で終了してるはずの世界。18歳から先は思考法をアップデートすべきであって、スポーツもその1つだ。

正しくは、
ヒント=A or B or C
という「or条件」だし、そもそもが1つの「ヒント」に過ぎない。どれか1つがアタりなら十分だ。そして並列された3要素とは、Cが当たった時にABとも整合性を取れていればいい、というCheck項目の関係にある。

「程度の問題」である
その上で、耐久競技では「程度の問題」が加わる。たとえば、
「上方での強い腕振り」という技術の活用度を、1km走なら90%、10kmなら75%、42kmなら前半40%後半55%ラスト7kmで80%
と、レース距離(=正確には持続時間)に応じて、動作技術のボリュームを調整してゆく。

のだけれども、その前に、
「そんな動作では42kmも持ちませんよね?」
という疑問で、思考がストップしてしまったりする。

僕の考えでは、「長距離専門の動作、という正解」を求めてしまった時点で、すでに成長機会を逃している。


「実験で検証すべき」である
そこでオススメの方法は、最小単位で実験してみること。たとえば
毎朝10km走るかわりに、1km×5に分割する
という場合、走行距離は50%ダウン、実験回数は500%アップだ。

こんな実験の中から、自分にとっての「妥当解」を見出してゆく。
そして、その妥当な「度合い」を高めてゆく。

「質の高い練習」とは、そういうものだと僕は思う。

誤解

よくある誤解の1つに、練習の質=心拍数の高い、パワー値の高い練習、タイムの速い練習、というものがあるように思う。

なぜ誤解なのかというと、(昔から何度も繰り返して言っている話だけど一応繰り返すと)、こういった身体負荷の高さに頼った練習は、伸びしろが限られるから。動作技術の改善なら、それこそ大迫傑レベルでも伸びしろあるのは 最近Twitterで書いた 通りだ。

でも、最近ではトレーニング内容の数値化が進んでいて、一見、とてもわかりやすいので、意識がそこに向かいがちな風潮があるように思う。

すると例えば、「上下動の数値をより少なく走ろう」という意識も持ってしまいがちだ。でも多くの場合それは間違った努力。そうなってしまうのは、ランニング動作の仕組みへの理解がないまま、コンピュータを盲信する姿勢があるからではないだろうか。

ここは超大事なことなので繰り返しておこう。
「質の高い練習」とは、まずは「質の高い動作を導く練習」である。身体負荷の高い練習、を必ずしも意味するものではない。もちろんそれはそれで必要な練習ではあるけれど、「身体を超疲れさせたから質が高い!速くなるぞ!」というのは、必ずしも報われるものではない。

ウェルビーイング・ラボ by MAKES
今回の開催目的は、400年以上前に判明したニュートン力学の基本に立ち返って、ランニングの仕組みから理解すること。

ランニング指導書は多いけど、このレベルで説明しているものはあんまり見ない。去年でた翻訳書 『ランニング・サイエンス』 などには幾らか書いてあったかな。たぶんランナー出身者が多いコーチ達には優先度の低い話なんだろうけど、僕がふだんいろいろ考え書いて、またトライアスロンするうえで、ニュートン力学は超使える実用的知識の宝庫だ。これを応用するだけで、かなりの疑問に対して「妥当解」を思いつくことができる。

こんな核になる考え方があれば、いろいろ玉石混交な情報に惑わされず、使いこなすことができる。それに、同じ走るなら、仕組みから理解できていたほうが楽しいとも思うし。

そんな価値観を共有する人たちと、まず「考えることを楽しむ」という場をつくりたいなと。それがこの形で実現できたのは、市民スポーツ支援に熱心な主催社メイクスさんのおかげです。その企業理念を発信する場のディレクションを八田は担当させていただいていて、その一環として今回のもあります。

今後の同種の会に関心ある方、告知は当面、
ウェルビーイング・ラボFacebookページ:https://www.facebook.com/wellbeing.labo
を優先する予定です。フォローしてお待ちください。





2018/10/20

KONA2018web分析1 世界の強豪エイジ半端なし!

10月に入りトレーニングを始めた。4年前までの感覚を体はまあまあ記憶しているけど、実行はまた別の話。再現しようとはせず、今は今なりに気持ち良い動き、状態を追求する。

トレーニング効果とは環境適応反応、急に冷え始めた季節に適応するのと同じ仕組みだ。暑いの寒いのと騒がず少しづつ慣らせていけばいい。2週も続ければ新しい環境にいくらか慣れてくるものだ。10月14日=ハワイ13日とはちょうどそんな時期。未明からアイアンマン世界選手権KONAをバイク前半くらいまでネット観戦。今年も発見が多かった。Facebookにばらばら書いてきたことをまとめておこう。

85歳の身体パフォーマンス

まずはエイジグルーパー(=陸上水泳のマスターズ相当です)から。日本人的に最大のビッグニュースは🇯🇵稲田弘さんによる人類史上初の85歳のアイアンマン世界王者誕生! 記録16:53:49とは制限時間まで6分11秒、比率にして0.4%のギリギリセーフ。

2015年大会では、スタート時刻の変更に伴い制限時間が16時間50分に短縮されたおかげで、
16時間50分走った先の世界記録に「 あ と 5 秒 」届かなかった稲田弘さん(83)は、世界のアイアンマンの新たな伝説を作っていると思う (2015.10 by Hatta)
で書いたドラマが生まれてしまったのだけど、その年も今までどおり17時間なら問題なく世界王者になれてたわけだ。でもそんな「もしも」を、85歳の今の行動により、吹き飛ばしてみせた。
※この件は後日、オリジナルな詳しいお話を提供するべく企画中です。(お待ちください)
日本人では他に、75歳🇯🇵Nakata, Hiroshi さんが14:30で4位入賞。高齢カテゴリで(いまのところ)強い。強豪チームTRIONで6位+7位という健闘もあった。


(画像はFacebook公式ストリーミング:IRONMAN World Championship brought to you by Amazon - Age Group Race Coverage Part 2 より、残り30分35秒あたりから)

世界最速の「糖質コントロール」

今年は風が歴史的な弱さだそうで、バイクのタイムが大幅に伸び、総合タイムも軒並み上がった。エイジ部門では 8:24:36(swim54:47 bike4:32:55 run2:50:56) というすごいコースレコードも生まれた。プロ込みで総合22位、ランは6位。

そのエイジ記録更新者は、NZのオークランド工科大学 (Auckland University of Technology)教授の🇳🇿️ Daniel Plews博士️35歳。少年時代はエリート部門での競技歴があり、スポーツ科学者としてNZのボートや自転車のナショナルチームも担当しつつ、オンラインコーチング会社の共同経営者でもある。自らの体で理論を実践してみせた。プレイヤー、コーチ、研究者はそれぞれの役割は違うけど、一人で全部やってみせるのはすごい。学者としての究極の姿。

彼の方法論はこれから調べていきたいけど、コーチング会社の紹介文にある
the area of performance and individual improvement ・・・I've realised that much of what we've been taught is false.  
we're now beginning to unlock the keys to performance, health and longevity
なんてあたり、興味深い。

具体的に、たとえば「トレーニングLow+レースHigh」の糖質コントロールもしている。レースでは毎時60g=吸収上限の糖質をとるが、日常的には抑えて脂質代謝を上げる方法論。これ、前に書いた
耐久アスリートの「糖質×脂質」食 (2018.09 by Hatta)
と共通し、その最新形といえるだろう。大量のエネルギー供給を実現するターボチャージャーな仕組みで、それを受け止め消費しきる大容量エンジンあっての話でもあり、そのエンジン側にも強みはあるわけだ。

・・・
ところでエイジ総合1位がプロの中に食い込んでくることは結構あり、僕の出た2013年では、🇿🇦️ Buckingham, Kyle(29)が8:37で16位。彼はその翌年にプロ転向したけど、この順位は上回れていないんじゃないかな? 今年は総合24位、女子のRyfに17秒差まで詰められている。時間、環境が全てではないということだ。Plewsはプロによる高速化に対応してみせたのが独自の達成だと思う。

「週8時間練習」の50歳の世界王者

もう一人すごい人を。🇸🇪 Carl Brümmer50歳、優勝タイム9:05:37 (swim56:06 bike4:42:02 run3:21:19) 

個人サイト、Mikael Erikssonによるインタビュー によれば、20歳頃はスウェーデン選手権6位までなった元エリート選手。後に仕事に専念し、営業畑で出世して、巨大製薬会社アストラゼネカの1000億円規模の事業部でMarketing & Sales Directorまで務め、今は独立して組織系コンサルタントをしてる。

40歳からトライアスロン再開し、年齢増加とともにレースタイムを短縮し続け、アイアンマンのベストタイムは8時間台。そのための練習量は週8〜12時間だと。

僕が一番興味あるのはこのあたり。稲翁いくらすごいといっても彼の年齢まで40年、21世紀も後半になてしまうし、Plewsの35歳に戻ることはできないし、笑

もっと知りたい方へ

なぜこんなことが可能なのか? 僕なりに幾つかの仮説はあり、最新情報も追っかけていきたい。関心ある(奇特な)方は引き続きこの奇特なブログ笑、フォローください。

さらに、もう少し強力な仕組みを追加します。私のディレクション担当で新たに立ち上げた企業オウンドメディアでも取り上げていけると思うので、
Facebookページ→ ウェルビーイング・ラボ
フォローください。brought to you by 株式会社メイクスです。

"brought to you by AMAZON"

ちなみに今年の冠スポンサーはAmazon。主目的はスポーツ補給食のネット販売で、専用サイトも用意してる。アマゾンという会社が世界最強書店であったのは大昔のこと、今や「ロングテールの真逆」を行くベストセラー限定書店で家賃収入いれながら別の商売に熱心な会社→
  なので、僕の本はAmazonでは買わずに普通に書店で注文いただきたいのだけど、それはそうと、かれらがスポーツ食品販売に手を出してくるということは、この分野は儲かると判断してのことだろう。メーカーの利益率も高そうだし? するとWiggle,CRCなど自転車系ネットショップの補給食コーナーとも重なりもする。他の扱い品にも拡大してくるかもしれない?